農家の年収ってなんとなく闇に包まれていますよね。
色んな経営スタイルがあって、売上や所得は農家によってばらばら。
結局農家ってどのくらいの年収・手取りなんだろう?
儲かっているのかな?
また、売上が高くても所得はマイナスということも。売上の数字は参考にならないと感じる方もいるでしょう。
メディアで「農家年収1000万は誰でもいける!」という話があったけど、実際は売上が1000万だった…という話も聞いたわ。
リアルなお財布事情が知りたいなぁ
そこで今回はズバリ、農家の年収や手取りがいくらかをご紹介!
農林水産省の統計データ等に基づいて、農家のリアルなお財布事情を丸裸にします♪
農家の年収・手取りはいくら?
いきなり結論です。
・主業農家に限定すると、平均年収(所得)は約800万円。手取りは約600万円。
なんかややこしいなぁ。たしかに、おじいちゃんが小規模でやっている農園だったり、兼業で営む農家っていっぱいいるよね。
農家には大きく分けて主業農家とそれ以外の農家がいます。
それをひっくるめて農家の年収を考えると「農業は平均年収200万の産業。農家は儲からない」という話になったりするわけです。
やはり気になる、農業のみで生計を立てている”主業農家“の年収を見てみましょう!
農家の年収(主業農家ver.)
主業農家の平均年収は約800万円(中央値はもうちょい低め)です。
平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | |
所得(万円) | 704 | 788 | 802 | 801 |
会社員の給与と比較するならば、売上ではなく所得を見る必要があります。
つまり、農家さんはサラリーマンで言う額面でもらえるお金がおおよそ800万円ということです。
一方、一般サラリーマンの平均年収は約400万円。この数字と比較すると、専業の農家さんは高収入と言えますよね。
農家の手取り(主業農家ver.)
続いて、”年収“ではなく”手取り“について。
こちらも結論から言うと、農家の手取りは約600万円。一般サラリーマンの手取り平均:300万円代と比べると結構高いですよね。
一般的な自営業者の手取りは所得の6割〜7割といわれています。農家は平均所得800万円なので、平均的な手取りは約600万円です。
より詳しくイメージできるように、自営業者の手取りを計算できるシミュレーションサイトで簡単にシミュレーションしてみました。
(例:所得800万円、16歳未満の子供が1人の場合)
所得税 | 668,500円 |
住民税 | 563,000円 |
国民年金 | 198,480円 |
国民健康保険 | 810,927円 |
手取り収入 | 5,759,093円(月:48万円) |
表からわかるように、手取りは年間約600万円。月に約50万円という計算になります。
農家の年収や手取りなどお財布事情がイメージできてきたでしょうか?
作物別の年収ランキング
お次は、作物別に農家の年収を見ていきます。
何を育てている農家さんの年収が高いのでしょうか?
農水省のデータを元に、1戸あたりの農業所得でジャンル別にランキングを作成しました。
①露地野菜【作物別年収ランキング】
順位 | 品目 |
---|---|
1 | レタス |
2 | キャベツ |
3 | スイカ |
②施設野菜【作物別年収ランキング】
順位 | 品目 |
---|---|
1 | ミニトマト |
2 | いちご |
3 | 大玉トマト |
③果樹【作物別年収ランキング】
順位 | 品目 |
---|---|
1 | 日本なし |
2 | かき |
3 | りんご |
④花き【作物別年収ランキング】
順位 | 品目 |
---|---|
1 | バラ |
2 | 菊 |
3 | カーネーション |
また、主要な作物はそれぞれ年収情報を細かく分析しております。こちらもチェックしておきましょう!
作物別の時給ランキング
もし農業で儲けたいならば、時給についても気にするべきです。
収入が多くても労働時間が長すぎる、これでは真のお金持ちとはいえないですよね。
時給を高くするというのが経営の視点では大事です。
時給の高い作物ランキングは以下の通り。
順位 | 野菜の種類 | 労働時間あたりの農業所得(円) |
1位 | ミニトマト | 1,790 |
2位 | キャベツ | 1,581 |
3位 | レタス | 1,574 |
4位 | にんじん | 1,548 |
5位 | サトイモ | 1,512 |
「なぜ時給が高いか?」はこちらで詳しく解説していますよ。
農家年収1000万を目指すためには?【初心者編】
あなたは「自分も農家になって稼げるかも?」と思ってこの記事を読んでいるのではないですか?
たしかに、農業は年収1000万〜億万長者も狙える、夢のある仕事です。成功例もたくさんあります。
ですが、決して甘い世界ではありません。
農業を始めるためには、特に
- どのように作物を育てるか?(栽培技術)
- どの作物が儲かるかつ自分に合っているか?(作物の選定)
- どのような販路で儲けるか?(販路探し)
を学ぶ必要があります。
まずは、男は黙って①栽培技術!
3つのポイントの中でもっとも重要です。
農業研修を受けられる農家の師匠を探し、同じ面積からとれる作物の量(単収)、農作物の形や味のクオリティなどなど、盗めるところは盗みまくりましょう♪
続いて、②作物の選定
どの作物が儲かるかについては以下の記事が参考になります。興味のある方はぜひ!
いろんな作物を栽培してみて、どの作物が自分に合っているかをチェックしましょう。
そして軽視していけない、③販路探し
農業界隈ではよく「売り先決まってから作れ」と言われますね。
なるべく手間を少なくし、「量こそパワー」という戦略で行くならば、農協・市場出荷。
小規模で徹底的に高単価を狙うというようであれば、営業にかけるコストが大きいものの、直販がベストです。
販路に関しては次の項でも詳しく解説します。
農家年収1000万を目指すためには?【上級編】
本気で年収1000万円を目指す!というのであれば、以下のいずれかが必要です。
・マネジメントを見直す
・高単価販路の獲得
例えば、キャベツ単独で年収1000万を目指すには、5.5ha(550a)の栽培面積が必要です。
ここまでの広さになってくると、
・積極的に雇用する(家族だけでは2ha~3haが限界です)
・機械を導入し労働時間を短縮
が必須になってきます。
広大な土地で大規模に行えば行うほど、農業は儲かりやすいです。
例えば、以下のデータは、エリア別の農家さんの平均年収になります。
北海道の農家さん、やっぱりすごいな〜
一方、土地がそこまで広くない…という方は、高単価で売れる商品作りと販路確保によって、高年収は十分に狙えます。
例えば、トマト。
市場では1kg300円の取扱額ですが、例えば産直EC「食べチョク」では大体1kg450〜1600円ほど。単価が4倍程高くなります。
ちなみに直販に関しては、日本トップクラスのメロン農家、寺坂さんの著書がおすすめ。農家なら一度は目を通しておくべき一冊です♩
「平均的な年収でOK!」な農業を楽しみたい方向け【番外編】
最後に、「農業を仕事にしたい!平均的な年収・手取りでいいから農業を楽しみたいな♪」という方向けのお話です。
もし農業を楽しむことが目的という人は、農業をゼロから始めて頑張り続ける必要はありません。
もっとコスパ良く、農業を楽しみながら仕事にする方法があります。
その方法とは、農業を既にしている農家さんと結婚するという方法です。
私『農家の嫁って新規でやりたいとか、一生酪農がしたいみたいな女の子からすると裏口入学みたいなもんなのかな?』
— ハイザラ・🐄アカ (@EsPhbK9E6SgZ6LU) February 6, 2019
旦那『むしろ、それ正規ルート』
私『まじか』
農家の嫁正規ルートなら、じゃんじゃんみんな婚活したらいい😃
と、思ったんだけどなんでこんなにもマッチングしないんだろ?🙊
さて、農家さんとの結婚にはたくさんの良いところがあります。
- 苦労して新しく農業を始める必要がない
- ノウハウを既に持っているので、将来も安心
- 農業をすぐに楽しむことができる
- 農家さんは優しくかつたくましい
- 後継者がいないのであなたのような存在を欲している
一人で悩んで、向いているかも分からない世界に飛び込むのはとても大変です。
農業の世界に入った後も苦労だらけです。
そんなとき「農業への興味や理解がある人がそばにいてくれたら…」
ときっと思うはずです。
農業をゼロから始めたい方が、農家と結婚することは悪い選択ではありません。むしろ超有力な選択肢の1つです。
この記事を通して、「農家との結婚という手段もありだな〜」と思っていただけたら嬉しいです。
この辺の詳しい話はこちらの記事で徹底解説していますよ。