「おいしい野菜をたくさん収穫したい!」
さて、何が大事でしょうか?
答えは”土作り”。
畑にただ種をまいたり、苗を植え付けるだけでは、病害虫の被害にあったり、時には枯れてしまうことも。
野菜のベッドとなる土を最高の状態にしてあげることで、おいしい野菜に育ちますよ♩
そこで本記事では、農家の私が家庭菜園の土作りについてわかりやすく解説します。
基本さえ覚えておけば、どんな野菜を育てるとなっても安心ですよ。
良い土作りとは?
家庭菜園での土作りのポイントはズバリ、水はけ・水もち・酸度です。
これらを野菜作りに適した状態にするために、土作りをしていきます。
上手くバランスが取れていると、野菜が病気や害虫の被害に遭いづらく、健康的に育ってくれます。
水はけ・水もち:団粒構造がカギ
水やりをしてもすぐに乾いてしまう土でも、いつまでもジメジメと湿っているような土でも、おいしい野菜は育ちません。
いい土とは”水はけがよく、水持ちが良い“土です。専門的に言うと”団粒構造が発達した土”です。
団粒構造とは小さな土の塊が団粒を作り、大小様々な大きさの団粒ができ、適度に隙間が生じ、水や空気の通り道ができていることをいいます。
実は土だけで団粒構造ができるわけではなく、微生物が堆肥などを分解することで糞を出したり、カビなどが菌糸を作り出すことによって、土同士がくっつくことによってできます。
そのため、土の中の微生物を増やすこと、餌となる有機物を適度に入れることで、団粒構造が発達し、いい土になります。
畑を少し掘って、やや湿った土を採取します。これを手で軽く握って固めてください。
もう片方の手の指で軽くつついて崩れれば、団粒構造ができています。もし崩れない場合は、あまり団粒構造ができていないことになります。
土の酸度:酸度計で測ってみよう!
日本の畑の土は、火山由来の土壌が多く、酸性土が多く分布しています。
毎年、石灰をまいて調整しても、雨に含まれる炭酸によって石灰が流出してしまい、どうしても酸性に傾いてしまいます。
日本在来の野菜は、酸性土に強いものが多いので問題ないですが、海外由来の野菜は弱酸性から中性を好むものが多いです。
現在ではそういった海外由来の野菜が多く栽培されているため、野菜の栽培前に石灰肥料をまいて、土を中和する必要があるというわけです。
石灰の正確な散布量を知るためには、pH試験紙や酸度計などを使用して科学的に計測して算出します。
家庭菜園初心者の方はそこまで神経質になる必要はありません。育て方の記事等に記載してある量の石灰をまけば、大概の場合OKです。
もし「育て方の通りに栽培しているのに、なぜか育ちが悪いなぁ…」ということがあれば一度、酸度を計測してみるといいかもしれません。
手順①:土作りの準備
土作りに必要なもの
- 鍬
- レーキ
- 石灰肥料
- 堆肥
- 肥料
- バケツなどの容器
- 測り
- 酸度測定計、試験紙など(あると良い)
土作りは、鍬と各肥料類があれば、ひとまず作業することはできます。
肥料類を入れるバケツなどの容器や、量を測るもの、さらに酸度をチェックするものがあると、より正確な作業を行いやすくなります。
酸度を計測する
畑の土壌のpHを調べるには、測定計を使用するか、pH試験紙を使用して測ります。
測定計は土壌に挿すだけでpHが測れるので、手軽に酸度を知ることが可能です。
同時に土壌温度、水分量なども測れるものもあり、1台持っていると便利です。
手順②:酸度調整:植え付け2〜3週間前
酸性に傾きがちな畑の土を中和するために、石灰肥料を加えて酸度調整しましょう。
石灰にはさまざまな種類があり、種類によって即効性や酸性矯正力が異なります。
「消石灰」や「生石灰」と呼ばれるものは即効性がある反面、強アルカリ性で取り扱いには注意が必要です。
初心者の方は緩効性で反応が緩やかな「苦土石灰」や「炭酸カルシウム」などの使用をおすすめします。
苦土石灰をまいてから効果が出るまでは1~2週間ほどかかります。
肥料や堆肥と同時にまくのはあまり良くないので、その点も考慮すると、植え付けから逆算して2~3週間前に苦土石灰を施しておくのがベスト。
野菜ごとの適正pH
各野菜ごとの適正pHは以下の表のようになります。
pH5.5~6.0 | じゃがいも、里芋、トウモロコシ、ダイコンなど |
pH6.0~6.5 | トマト、ナス、キュウリ、ニンジン、キャベツなど |
pH6.5~7.0 | ほうれんそう、玉ねぎ、ネギ、ゴボウなど |
野菜の種類によって適したpHは異なるので、むやみに石灰肥料を加えるのではなく、畑の土のpHと、育てようとする野菜に適したpHを比べ、投入する石灰肥料を調整しましょう。
手順③:堆肥の投入:植え付け2週間前
堆肥とは様々な有機物を発酵、分解させたものです。
畑に投入することで畑にいる微生物や小さな生き物の餌となり、また堆肥に潜んでいる微生物を畑に供給する役割もあります。結果的に畑の中の微生物の数が増え、団粒構造ができてフカフカな土になります。
微生物の働きによってさまざまな病害虫が発生しづらい環境となります。
また、堆肥には大きく分けて「植物性堆肥」と「動物性堆肥」の2つのタイプがあります。
もみ殻堆肥や落ち葉堆肥、バーク堆肥など植物由来の堆肥で、肥料分は少ないですが、高い土壌改良効果が期待できます。
動物性堆肥
牛糞や鶏糞など、各家畜の糞由来の堆肥のことです。土壌改良効果は控えめですが、豊富な肥料分を供給します。
堆肥の種類が違うと得られる効果が違うのはもちろん、堆肥に集まる微生物の種類も違ってきます。おすすめは交互に異なった種類の堆肥を投入すること。長い目でみるとさまざまな効果が期待できますよ。
堆肥を投入するタイミングは、植え付けの約2週間ほど前です。
堆肥の種類によっては土の中でガスが発生する場合があるので、植え付け直前には撒かないようにしてください。
手順④:肥料の投入:植え付け1週間前
最後に肥料を投入します(元肥・もとごえ)。
小学校の理科で学んだように、野菜を育てるためには、窒素・リン酸・カリの三大要素、それに加えて、マグネシウムやカルシウムといった微量元素が必要となります。
・リン酸は「果肥」とも呼ばれ、果実の成長を促します。
・カリは「根肥」とも呼ばれ、根や茎の成長を促します。
このようにそれぞれ役割が違うんですよね。
酸度と同じで、肥料の三大要素などの適したバランスが野菜ごとに異なるので、事前に確認したうえで肥料を投入しましょう。
初心者の方は、作物に合わせてバランスを調整するよりも、こちらのようなバランスよく調整された専用の肥料を使用するのが、手軽でおすすめです!
肥料をまくタイミングは、植え付けや種まきの1週間ほど前がベストです。
種類によっては植え付け直前でも大丈夫ですが、前もって撒いて少し落ち着いたタイミングで植え付けをした方が安全です。
これで完成!
上記の手順で土作りをすれば、最高に美味しい野菜が収穫できます。
お好きな野菜を育ててみてくださいね♩