とう立ちとは?とう立ちの原因や防ぐ方法を解説!|若手農家が教える家庭菜園

とう立ちとは?とう立ちの原因や防ぐ方法を解説!|若手農家が教える家庭菜園

植物は花を咲かせる条件が揃うと、花茎が伸び、いわゆる「とう立ち」が起こります。

植物にとっては当たり前のとう立ちですが、家庭菜園で食用にすることを考えると、食味が落ちてしまうので避けたいところ。

美味しい野菜を食べるためには、どうしたらとう立ちが起きるのか、そしてとう立ちを防ぐためにはどうしたら良いのかを知っておく必要があります。

今回の記事を参考にしてみてくださいね♩

とう立ちとは?

とう立ちとは?

ブロッコリーの花

 

「とう立ち」とは、植物が花を咲かせるために、花芽をつけた茎が伸びだすこと。
ざっくり言うと、花を咲かせたりつぼみをつけることです。家庭菜園で「とう立ち」というと、収穫時期を逃した時に起こり、筋っぽくて美味しくなくなってしまうことを言います。

植物は成長段階によって、「栄養成長」と「生殖成長」の2つの段階があります。栄養成長は、種子から発芽し、葉をつけて徐々に大きくなっていく段階を指します。そして生殖成長は、花を咲かせ、受粉して果実や種子を作る段階を指します。

この生殖成長の段階に入り、花を咲かせるために花芽をつけた茎が伸びだすことを「とう立ち」や「抽苔(ちゅうだい)」と言います。

葉菜類と根菜類の多くはとう立ちすることよって、葉や枝の部分が筋張って美味しくなくなってしまいます

またトマトやナス、きゅうりといった果菜類は、栄養成長と生殖成長が同時に進みます。果実を収穫するためには花を咲かせる必要があります。

花芽分化

とう立ちと同時によく聞く言葉に「花芽分化」があります。

植物の先端にある生長点では、細胞分裂を繰り返して葉や茎を作り出します。

各条件が揃って、生殖成長の段階に入ると、生長点で葉茎を作ることをやめ、花芽を作り出し、これを花芽分化と呼びます。

花芽分化は植物の内部で起こっていることなので、目で見て分かるものではありません。この花芽分化が起きた後に目で見えるように変化するとう立ちが起こります。

とう立ちが起こる原因5つ

続いて、どのような条件でとう立ちが起きるのかをご紹介♩

とう立ちが起きる原因は、作物の種類によって様々です。

あなたが今育てている野菜で該当するものがあるかチェックしたり、「へぇ〜そんな原因があるのか」と楽しんでみてくださいね。

日照時間|とう立ちが起こる原因①

とう立ちが起こる原因

里芋の花


レタスや春菊、ほうれん草などは、ある一定の日照時間を超えると「とう立ち」します。

夜に街灯が当たる場所で栽培すると、街灯の明るさが影響してとう立ちすることもあります。

 

逆に、日照時間が短いと「とう立ち」する野菜もあります。サツマイモやシソ、里芋などが該当します。

低温に当たる|とう立ちが起こる原因②

とう立ちが起こる原因|低温に当たる

いちごの花


一定期間低温に当たることでとう立ちする野菜があります。低温に当たることでとう立ちするものには2パターンあり、播種した段階から低温に当たるととう立ちするものと、苗が一定の大きさになった後に低温に当たるととう立ちするものがあります。

前者を種子春化型と言い、小松菜、水菜、大根、カブ、エンドウ、白菜などです。

後者を緑体春化型と言い、キャベツ、ブロッコリー、人参、玉ねぎ、ニンニク、イチゴなどがあります。

高温に当たる|とう立ちが起こる原因③

とう立ちの原因|高温に当たる

サニーレタスのつぼみ


苗が一定の大きさに成長した後に、高温に当たることでとう立ちする野菜もあります。

主にレタスが該当します。

一定の大きさに成長する|とう立ちが起こる原因④

一定の大きさに成長する|とう立ちが起こる原因④

きゅうりの花


温度や日照条件に関わらず、ある一定の大きさに成長したらとう立ちする野菜もあります。

トマト、きゅうり、ナス、いんげん、ピーマンなどのいわゆる果菜類が該当します。

栄養バランス|とう立ちが起こる原因⑤

肥料分が多く、植物の成長が促されると同時に、とう立ちが早まることがあります。肥料切れなどの強いストレスを感じることでもとう立ちすることがあります。

とう立ちを防ぐ方法

美味しい野菜を家庭菜園で収穫するためにも、とう立ちを防ぐ方法をマスターしておきましょう♩

保温栽培する|とう立ちを防ぐ方法①

保温栽培する|とう立ちを防ぐ方法①

べた掛け


低温によってとう立ちする野菜は、トンネル栽培べた掛けなどにより保温をすることで防げます。

保温することにより、夜間の温度低下を緩和し、日中の温度を上げることができます。夜間に低温にさらされても、日中に高温になることで花芽分化しなくなり、とう立ちを防げます。

▶︎トンネル栽培やべた掛けについて詳しく知りたい方はこちら

種まきのタイミングを調整する|とう立ちを防ぐ方法②

種子春化型の野菜の種をまく場合は、天気予報などを参考に暖かい日が続くタイミングで種をまきましょう。

品種と地域ごとに適したタイミングで種をまき、無理して早い時期にまかないようにすることが大事です。

とう立ちしにくい品種を選ぶ|とう立ちを防ぐ方法③

晩抽性品種と呼ばれる、とう立ちが遅い、もしくはしにくい品種を選ぶことでとう立ちを防げます。

特に春に収穫する野菜は、晩抽性品種を選ぶのがおすすめです。

適切な肥料管理|とう立ちを防ぐ方法④

元肥、追肥とともに、土壌環境や作物に合わせて、適切な量の肥料を施すのが大事です。

適正量は肥料によって異なるので、包装を確認したり、わからなければホームセンターの方に聞くようにしてください。

▶︎追肥のタイミングについて詳しく知りたい方はこちら

 

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とう立ち菜について

とう立ち菜について

最後に、とう立ちさせてから食べる野菜を紹介して、記事を締めたいと思います。

野菜を育てる上で、基本的にとう立ちは起こさない方がいいですが、中にはとう立ちさせて食べる野菜もあります。

その代表的なものが、菜花アスパラ菜です。

同じアブラナ科の小松菜やチンゲンサイ、大根、白菜も秋に種をまいて越冬させると、2~3月頃にとう立ちします。

本来の食用部分は硬いですが、蕾の部分をとう立ち菜として収穫すると美味しいですよ♩

とう立ち菜を食べる場合は、開花する前に収穫するのがポイント!

 

なお、とう立ち菜がスーパーなどに流通することは稀です。

農家の間では昔から春の味覚として楽しまれており、とう立ち菜を食べられるのは、家庭菜園の醍醐味の1つですね

▶︎若手農家が教える「簡単な野菜の育て方」もチェック!