現在農業をしているけど、お客さんに農作物のこだわりを直接伝えたいな。
消費者とのつながりをもっと大事にしたいな〜
農業をしているとこのように考えることってありますよね。
今回は、千葉県山武市で農家レストランを経営されている「タ・カシェット」の渡邉陽子さんに、農家レストランについてのお話を伺いました。
農家がレストラン開業をする手順・注意点をQ&A形式で学べるだけでなく、体験談に基づく先輩経営者のアドバイスも盛り沢山です。
将来農家レストランを始めたいと思っている人は、必見の内容になっています♩
そもそも農家レストランって何?
農家レストランとは、農家が自ら経営する飲食店のことです。
本格的なコース料理を提供する店から、気軽に立ち寄れるカフェまで業務形態はさまざまです。
そんな農家レストランの魅力は、農家が作った新鮮な農作物を自分たちで調理し提供することにあります。農家と消費者との距離が近く、コミュニケーションが取れるのもメリットですね。
また、地元の農産物を味わうことができ、各地域の特色を楽しめるのも特徴となっています。
農家レストランを開業する手順【理論編】
まずは理論編です。
ここでは、農家レストランを開業する手順を解説していきます。
農家レストランを開業するためには、事前に決めておくべきことや、各窓口に書類を提出する必要があります。
あらかじめ準備しておき、後々の不安を減らしましょう。
農家レストランを開業する手順を順を追って説明しながら、「タ・カシェット」さんのワンポイントアドバイスも紹介します。
1.目的を決める
農家レストランの開業に向けて、まずはレストラン経営の目的を決めましょう。
「農産物を新鮮なまま届けたい」
「お客様に自分たちのこだわりを知ってもらいたい」
など、レストラン経営の目的はさまざまです。
農家レストラン経営の根幹である目的を定めて、何をしたいのか?を改めて言語化しておきましょう。
その際、参考にしたい農家レストランを見つけておくこともおすすめです。
2.事業計画を立てる
施設の概要や、使用する農産物などの計画を立てます。
他店舗との差別化をはかれるように、自分たちの強みを考えておきましょう。
3.各窓口への申請
開業手続きや飲食店営業許可書など、各窓口へ必要書類の申請を行います。
保健所や市役所など、関係施設はバラバラなのでチェックしておきましょう。
また、各地域によってルールが若干異なる場合もあるため、お住いの地域で確認しておくことをおすすめします。
実際に私は、商工会の方にとてもお世話になったので、近くにある方は相談してみると良いですよ。
4.店舗の準備
店舗の内装、外装の準備をします。
加えて、調理器具やテーブルなども必要になってきます。
補助金など活用できる場合があるので、一度確認してみるのも良いですね。
5.開業
SNSで発信をしたり、イベントを実施して事前に周知しておくと集客につながります。
周知の際には、目玉になるメニューや加工商品などで独自性をPRできると良いですね。
中でもピザ体験は毎年多くのお客さんが訪れるほど、タ・カシェットの目玉の一つとなっています。
①目的の決定
②事業計画の設定
③各窓口へ申請
④店舗の準備
⑤開業
農家がレストランを開業する際の注意点【Q&Aで学べる!】
それではここからは、先輩経営者である「タ・カシェット」の渡邉さんに、農家レストラン開業に向けたアドバイスをQ&A形式でお伝えいたします♩
Q. 農家がレストランを開業する際にまず気をつけるべきことは?
【渡邉さん】
農家がレストランを開業する際には、申請書類の手続きより「家族の理解」を得ることが大切だと思います。
実際に私の場合は、「ソムリエファーム」を両親と兄が経営しており、そこの農産物を使わせてもらう形をとっています。
農園が忙しい時には農作業をすることもありますが、基本的には農家レストランの経営でかなりの時間を取られてしまいます。
そのため、農家レストランを検討されている方は、事前に家族で話し合い、農業とレストランの比率を決めておくのがおすすめです。
後々、農作業を手伝ってくれないと不満が溜まったり、時間が足りず農家レストランでやりたいことができないといった悩みがでてくるかもしれません。
レストランも農園も一人ではできないので、家族の協力体制をしっかりしておくとよいですね。
Q. 申請書類の作成にあたって何かアドバイスはありますか?
【渡邉さん】
事業計画書を作成する時には、具体的な数字を書けるように心がけると良いです。
飲食に関して未経験の場合には難しいかもしれません。でも、融資を受けるのであれば、先輩経営者や各窓口に相談するなどしてきっちりと計画を立てられるといいですね。
地元に商工会がある地域では、相談しにいってみるのもおすすめですよ。
また、ジャム・ドレッシングといった加工品や、レトルト食品があると売り上げの安定化につながることがあります。
料理の提供以外でもお客様の手に取ってもらう機会が増えるので、検討してみてはいかがでしょうか。
Q. 農家レストランを続けていくうえで大切なことは?
【渡邉さん】
地元の方や地域とのつながりをもつことが大切だと思います。
「タ・カシェット」の始まりも元々は、知り合いがピザ体験に来てくれたところがスタートでした。
現在も、マルシェなどのイベントに参加することで別のイベントにお誘いいただけたり、お店に来店してもらえたりすることがあります。
また、市役所や商工会の方とお話しする機会があれば、補助金や協力金の情報をもらえるかもしれません。
コロナ禍など困ったときに頼りになるのは、日ごろのつながりだと思います。
農家レストランを経営するにあたり、強みがあれば他との差別化につながります。
自分の強み・こだわりを考える際には、他の農家レストランを参考にしてみるのもおすすめです。
続いて、「タ・カシェット」さんのこだわりを伺いました。
Q. タ・カシェットさんのこだわりを教えてください
【渡邉さん】
「ソムリエファーム」で両親や兄が育てている自慢の農産物を使っていることです。
海が近いので、ミネラル豊富な畑から収穫できる野菜は旨味がたっぷり。さらに、堆肥も自家製堆肥を使用するなど、こだわりがつまっています。
「こだわりのつまった野菜の良さを伝えたい」
「野菜の魅力を存分に引き出したい」
そのような思いをこめて料理を作っています。
Q.レストランを経営する中で心がけていることはありますか?
【渡邉さん】
お客様との距離の近さを心がけています。
私は、「厨房でひたすら料理を作り、接客は他の人に任せきり」というのではなく、「お客様に自ら料理の説明をして、コミュニケーションをとりたい」と思っています。
自慢の野菜を普段は食べないような調理方法で美味しく食べてもらうことや、色味を華やかにしてお客様に喜んでもらえることが嬉しいんです。
お客様との距離の近いレストランが私の理想ですね。
おわりに:農家レストラン開業は具体的なイメージが大切
いかがだったでしょうか?
農家がレストランを開業するためには、事業計画書を具体的に作成して、事業の目的を定めておくことが重要です。
・自分たちの農園の強みは何なのか?
・どんなこだわりをもっているのか?
基本的なことですが、ビシッと明確に決めておくと、後々いろんなことを決める際にブレずに決断できますよ。
今回、取材させていただいた「タ・カシェット」さんは、野菜の魅力を伝えること・お客様との距離の近さをこだわりとしておられました。
タ・カシェットさんや他の農家レストランに足を運んだりして、真似られるところは真似をし、自分の理想とするレストランの特徴をあぶり出していきましょう。
それではまた!
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