30代で農業の世界に足を踏み入れようと考えている方はいませんか?
しかし、いざ農業を始めようとすると
そもそも農業を始めるのに資格は必要?
具体的にどんな資格が役に立つ?
と悩んでおられるのではないでしょうか。
結論から言うと、農業に必ず取得しなければならない資格はありません。
ただし、取得しておくと便利かつ、スムーズに農業を始められる資格があります。
そこで本記事では、
2. 農業実務に役立つおすすめの資格や免許
3. 最低限とっておくべき資格や免許
を紹介します!
農業を始める前に、取得しておくと便利な資格や免許について把握していきましょう。
農業資材や作物の運搬・移動に必要な資格や免許
まずは、運転免許になります。運転免許は農作物や農機具の運搬や、農作物の収穫などに必要です。
聞いたことのある免許ばかりだと思いますが、なぜ農業を始めるのに必要なのかを踏まえて解説していきますね。
普通自動車免許(マニュアル)
農業に必要な資格において、あえて”必須”とするのであれば普通自動車免許が挙げられます。なぜなら、農地への移動や農作物、農機具の運搬に必要であるためです。
そして農業で使用する自動車はマニュアル車が大半です。そのため、マニュアル免許を取得しておきましょう。
ほかにも、普通自動車免許で運転可能な小型トラック(2トン)が活躍する機会が多いです。運転する機会がある方は、小型トラックの運転に慣れておくと農業をスムーズに始めやすいですよ。
なお、自動車免許を取得した年月により、運転できるトラックが変わるため注意しましょう。
大型特殊自動車運転免許(農耕車限定)
大型のトラクターやコンバインで公道を走るには、大型特殊自動車運転免許が必要になります。
・長さ4.7メートル
・幅1.7メートル
・高さ2.0メートル
・15キロ/時を超える速度
稲作など土地集約型の大規模農業を行うのであれば、大型のコンバインなんかを操縦します。そして、農耕車を農地からほかの農地へ移動する場面が多いです。そのため、大型特殊自動車運転免許を取得しておくと便利になります。
「まずは小規模の農業から始めよう」という新規就農者にはすぐに必要ではない資格ですが、「独立前にまずは農業法人で技術を積もう」という人は取得しておくといいでしょう。
なお、大型特殊自動車運転免許は自動車学校で取得可能です。農業大学で行われている免許取得の研修を受講すると費用を安く抑えられますよ。
けん引免許(農耕車限定)
けん引免許は、750kgを超えるコンバインやトラクターなどをけん引して、公道を走る際に必要になります。750kg以下であれば普通自動車免許でけん引可能になりますが、農耕車は750kgを超えている場合が多いです。また、けん引タイプの農機具も多いため、けん引免許が必要になる場面があります。
大型の農耕車の使用やけん引タイプの農機具の利用を検討している方は、けん引免許を取得しておきましょう。
なお、けん引免許は農業大学校や自動車教習所で取得可能です。
農業実務に役立つおすすめの資格や免許
農作物を育てる上で役立つ資格はないのかな?
続いて、農作物を育てるのに役立つ資格を解説していきます。
- 日本農業技術検定
- 日本農業検定
- 土壌医検定
- 農業機械士
- 農業簿記検定
- 農薬管理指導士
- 毒物劇物取扱者
- 危険物取扱者(乙種第4類)
- ボイラー技士
新規就農して上手く人は、ブランディングや営業などの売る技術以前に、まずは農作物(モノ)を作る技術がしっかりしているという特徴があります。
まずは資格を通じて知識をつけ、経験を積んで、モノをしっかり作れるようになりましょう!
①日本農業技術検定
日本農業技術検定は、農業で起業したい方におすすめの資格です。なぜなら、本格的な農業の知識や技術を身につけることができるからです。
必須ではありませんが、下記3つの知識・技術を本格的に学ぶことが可能です。
2. 作物・野菜・果樹などの栽培および管理
3. 食品加工・製造管理
これらは、農業を行う上で学んでおくと有利になります。
日本農業技術検定をきっかけに、農業経営に必要な知識や技術を身に着けましょう。
(参考:一般社団法人 全国農業会議所:日本農業技術検定試験の概要 )
②日本農業検定
日本農業検定は、農業に関する基礎的な知識を学べます。「農業を始めたいけど、農業のことがさっぱりわからない…」という方は、日本農業検定から始めてみましょう。
具体的な学習内容は、「栽培・食・環境・農業全般」の基礎知識になります。
日本農業検定をきっかけに、農業の基礎的な勉強を行い基盤となる知識を身に着けましょう。
(参考:日本農業技術検定公式サイト:農業検定概要)
③土壌医検定
土壌医検定は、農地の土作りのプロを育成するための資格です。本格的に農業で事業を行いたい方におすすめの資格です。
なぜなら、
・施肥改善(施肥とは作物に肥料を与えること)
・作物の育成改善
など、健康的に作物を栽培するための知識が学べるためです。
土壌に関する知識を見につければ、作物がきちんと育たない原因追求や、ほかとは違う作物栽培の研究などが行えます。
本格的に農業したい方は、土壌医検定の勉強を行い土作りの専門家になりましょう。
(参考:一般財団法人 日本土壌協会主催:土壌医検定試験 公式サイト)
④農業機械士
農業機械士は、農業で活用するトラクターやコンバインなどの、農業機械を正しく取り扱うための知識や技術を身に付けられます。
農業機械士の知識や技術を身に付けていると、機械のトラブルが生じた際に自分で対処ができるようになります。
なお、受験資格は各都道府県によって異なりますが、主に下記の3つが必要になりますので注意しましょう。
2. 18歳以上で農業に従事している
3. 大型特殊自動車免許を取得済み
⑤農業簿記検定
独立就農するということは個人事業主になるということ。
会社員で会計ができる人はそこまで多くはありませんが、個人事業主には会計知識は必須です。
そしてこと農業に特化した会計の知識を学べる資格が農業簿記検定というわけです。
この農業簿記検定を持っていると
・種子、肥料、農薬
・燃料、包装材料
などを、正しく帳簿付けできるようになります。
これにより、経営状況を可視化でき経営状態をきちんと把握でき、経営に必要な改善策を明確にすることが可能です。つまり、健全な農業経営ができるというわけです。
事務員を雇ったり、業務委託したりする予定が無い方は、農業簿記検定で会計知識を勉強しておくといいでしょう。
⑥農薬管理指導士
農薬管理指導士は、農薬の適正な使用のアドバイスや指導を行えるという資格です。農薬の使用や販売の際に、安全を確保して農薬の被害を出さないことを目的とします。
経営者は農薬を指導する立場になりうるため、農業経営を行うのであれば持っておくと便利になります。
なお、農薬管理指導士の研修を受講するには、一部例外を除き毒物劇物取扱責任者の資格を保有している必要があるので注意しましょう。
⑦毒物劇物取扱責任者
農業は人体に有害な農薬を使用します。使用するだけであれば、毒物劇物取扱責任者を置く必要はありません。しかし、この資格の学習を行えば、農薬に関する正しい知識や使用方法を取得できます。
農業は基本的に農薬を使用する頻度が高いので、毒物劇物取扱責任者の勉強を行なって損はないでしょう
⑧危険物取扱者(乙種第4類)
一定数量以上の危険物を保管および使用する施設は、危険物取扱者を置かなければいけません。
危険物取扱者の資格には、いくつか種類があります。農業の場合は、乙4種(ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、動食物油類等の引火性液体)の取得をおすすめします。
(参考:一般財団法人 消防試験研究センター・危険物取扱者について)
⑨ボイラー技士資格
例えば、きゅうりの専業農家は冬にきゅうりをハウス栽培し、流通量が少ない冬に出荷することで高単価での取引を実現します。
そしてこのようなビニールハウスの温度管理はボイラーで行います。そのボイラーを管理する際に必要な資格がボイラー技士資格というものです。
ボイラーの点検設備不足や取り扱いを間違えると、重大な事故に繋がります。ビニールハウスなどの施設栽培を検討している方は、ボイラー技士資格が必須です。
最低限必要な資格まとめ【農家になるには】
今回は農業を始めるにあたって、取得しておくと便利かつスムーズに農業を始められる資格について解説しました。
しかし、資格の種類がたくさんあり、どれを取得しておくべきが迷ってしまうと思います。
そのため、最低限とっておくべき資格を下記3つにまとめました。
2. 日本農業技術検定:農業全体の知識・技術を学べるため
3. 毒物劇物取扱者・危険物取扱者(乙種第4類):農業において使用頻度の高い燃料や農薬の知識・技術が学べるため