さつまいもは家庭菜園でも人気の作物!
必要な作業時間が少なく、片手間に植えて放っておいても収穫できるのがいいですよね。
ですが、せっかくならば「もっと大きなさつまいもを収穫したい!」「甘くてホクホクのさつまいもを栽培してみたい!」と思う方も多いでしょう。
そこで今回は家庭菜園初心者の方向けに、さつまいも農家による「失敗しない育て方」を紹介します♩
さつまいもの栽培時期・栽培カレンダー
さつまいもを植える時期は5月〜6月が目安です。
栽培期間は120〜150日で、「秋の味覚」と呼ばれるように、9〜11月頃に収穫できます。
さつまいもを育てるおすすめの環境・条件
- 水はけの良い土壌
- pH5.5〜6.0の土壌
- 日光のよく当たる場所
- 適温15℃以上
水はけが悪かったり、気温が低く霜が降りてしまえば枯れてしまいます。
日光が当たらなかったり、土壌pHが適度でないと育ちが悪くなります。
さつまいも栽培に必要な肥料・土
土は「野菜用の培養土」がおすすめ!
培養土は栄養を含んでいるため、基本的に元肥(肥料)が必要ありません。
後ほど解説しますが、7~8月に葉が黄色くなってきたら栄養不足の合図です。その場合は少量追肥してあげましょう。
さつまいもの土作り
畑作なら畝立てをして、マルチと呼ばれるビニールシートを被せるのがベスト。
畝の高さは20〜30センチ、幅は30〜40センチくらいです。
またマルチを被せることで、地温を上げる効果や雑草防止効果で育成促進が期待できます。
おすすめは黒色マルチです。地温も上がりやすく、雑草防止効果が高いです。
また、「花壇や畑がない」という場合でもご安心を。プランターでもさつまいも栽培は可能です。
プランターは幅70・奥行き30・深さ30の大きさがあればOKです。
さつまいもの苗の選び方・準備
さつまいもは種まきを行わず、種芋から出た苗を植え付けていきます。
さつまいもの苗は、4月下旬以降に種苗店やホームセンターに行けば簡単に手に入れることができます。
手に入れやすく栽培しやすいおすすめの品種は「紅あずま」「安納芋」です。
・紅あずま・・・ホクホク系のさつまいもで、育てやすく安定した収穫量がある。
・安納芋・・・ネットリ系のさつまいもで、水分が多い品種。
また、近年はサツマイモの病気が流行っているので、植え付け前の苗の消毒が推奨されています。
ベンレート水和剤に30分浸漬してから植え付けを行います(ゴム手袋を忘れずに!)。
さつまいもの苗の植え付け
買ってきた苗は店頭に並んでいる時点で時間が経っているので、なるべく早く植え付けを行いましょう。
もし、苗を買ってから植え付けまで時間が空いてしまうのであれば、バケツに浅く水を張り浸けて日陰においておけばOKです。
いよいよ植え付けです。
土に深さ5cmほどの穴を掘り、苗の節を根元の方から2~3つ土の中に寝かせるように斜めに置き、土を被せます。株間は30cm空けるようにしましょう。
根が活着するまでに3~5日かかるので、苗は下手に触らないようにしましょう。
土が固まらない程度に水をあげると、活着が良くなりGoodです。
植え付けて1ヶ月は除草を行いましょう。
1ヶ月以降は生長したつるが土を覆うため雑草が生えなくなるので、乾燥した土に水をやるだけで大丈夫です。
さつまいもの追肥
さつまいもは7~8月にかけて肥料不足になります。葉が黄色くなってきたら追肥のタイミング。
追肥には、リン酸やカリウムを多く含む「草木灰」がおすすめ。さつまいもの肥大化や甘みをUPさせることができます。
さつまいもの収穫
いよいよ待ちに待った収穫。
さつまいもは、植え付け後120〜150日が収穫の目安です。
10~11月にかけて葉が黄色くなってくるので、葉の色をしっかり見計らって収穫しましょう。
また、霜が降りる前には収穫しきりましょう。
つるに霜が降りると一気に弱り始め、イモの腐敗に繋がります。たとえば千葉県だと、遅くとも11月以内には収穫しておくのがGood。
さつまいもの貯蔵
収穫直後のさつまいもは甘くありません。
甘〜いさつまいもにするには、収穫から2~3週間貯蔵しておくのがポイント!
貯蔵により、さつまいものデンプンが果糖に変化し、甘さが増しておいしくなりますよ。
収穫した量が少ないときは、発泡スチロールの中に入れて室内で保存しましょう。
保存の際は、穴を数カ所開けて空気を流すようにしましょう。
貯蔵中とは言えサツマイモも呼吸しているので、側面の上下に穴を開けておくと、二酸化炭素が抜けやすくなり、貯蔵状態が良くなります。
逆に空気の流れが良すぎてもイモの乾燥に繋がってしまうので、穴は数カ所空けてあればOKです。
さつまいもの生長不良
家庭菜園では自然現象や土に生息する虫が原因で生長不良になることがあります。
さつまいもでよくあるトラブルとその対策方法をまとめました。
よくあるトラブル
つるぼけ
肥料、特に窒素が多いとつるに養分が行き渡ってしまい、さつまいもが全然育ちません。
対策としては、まずは肥料を控えること。つる返しも何度か行いましょう。
切り口から白い液体
さつまいもを収穫した時に、切り口から白い液体が出てきます。
白い液体の正体は「ヤラピン」という成分でさつまいもの傷を癒すために分泌されます。
分泌されてからしばらく経つと黒く変色します。
こちらは食べても問題は特になく、整腸作用があると言われています。
よくある病気
立枯病
葉が黄色く変色してしおれ、つるも伸びず生長不良となり、茎や塊根に黒い斑点ができます。症状が酷ければ枯れてしまいます。
起こる原因としては、土壌pHが高いことがあげられます。
予防として、ネギやニンニクを一緒に植えることで立枯病の病原菌を抑えることができます。
もし症状が現れてしまったら、すぐに症状が出てる部分を切除しましょう。
つる割病
葉がしおれて黄色く変色し、株元の茎が縦に割れてカビが発生する病気です。
起こる原因としては、こちらも土壌pHが酸性に近くなると病原菌が発生する確率が高くなります。
予防として、石灰などを土と混ぜ土壌phを中性〜弱アルカリ性にしておくといいでしょう。
症状が現れたのであれば、被害を受けた株を抜くしかありません。周りに移らせないようにしましょう。
さつまいも農家のワンポイントアドバイス
大きなお芋を作りたい場合は、地温の確保が重要です。
できるだけ浅めに植え付けると、温まりやすく大きいお芋ができやすいですが、浅いために乾燥もするので植え付け後数日の水やりの見極めが重要になってきます。
自信のある方は1〜2センチの浅さで「水平植え」にも挑戦してみましょう。
またここ数年は、さつまいもの基腐れ病が流行っています。
発生するとけっこうな大騒ぎになり、産地全体に影響を与えてしまうため、植え付け前のベンレート水和剤での殺菌はエチケットです。症状が出た場合は、抜いて処分しましょう。
可能であれば栽培期間中も殺菌・殺虫を行うとGood。
それではまた!