ポタージュや煮付けにすると美味しく、栄養価バツグンな野菜”かぼちゃ”。
生育旺盛で丈夫な野菜なので、実はコツさえつかめば初心者の方にもおすすめの野菜なんです。
今回は、かぼちゃ農家が甘くて美味しいかぼちゃの栽培方法を解説します。
かぼちゃの栽培時期、種まき、植え付け、追肥などの基本的な内容から、かぼちゃ農家によるワンポイントアドバイスまでご紹介!
畑だけでなくプランターでも栽培できる方法を豊富な画像で紹介するので、初めての方でも安心です♩
かぼちゃの栽培時期
栽培時期は、種まきをするなら4月上旬から、苗植えから行うなら5月上旬頃から始めるのが適期です。収穫時期は8〜10月頃となります。
かぼちゃの種まき
種の準備
種まきの時期
4月上旬が種まきの適期ですが、暖かい地域なら3月上旬から4月中、寒冷地は4月中旬〜6月上旬が目安です。
大切なのは25〜30℃で管理できる環境を用意することです。
種まきの仕方
小さなポットに種をまく”ポットまき”が管理しやすくておすすめです。
100均で手に入る3号or3.5号サイズのポットと、赤玉土を用意します。
直径5cm、深さ1cm程の穴を掘り、種の尖った方を下にして2、3粒まきます。
土を被せたら手で軽く押さえ、最後にたっぷり水やりします。
水やりの目安は、ポットの下から水が滴るのがわかるくらいたっぷりと水やりします。
種まき後〜発芽するまでの間、土が乾いたら水をあげましょう。種まきから3〜5日後に発芽します。
育苗
日当たりと風通しの良い場所で管理しましょう。
本葉が2、3枚開いたら、間引きをして1つの苗だけ残します(1株立ち)。ハサミで株元から切り取って間引きします。
育苗期間はおよそ1ヶ月です。
かぼちゃの苗植え・植え方
苗植えの時期
育苗した苗は、本葉が4、5枚になったら植え時です。
5月中旬〜6月頃が植え付け時期の目安です。
気温の目安としては、最低気温8℃以上です。生育に適した気温は17〜20℃になります。
土作り
プランター栽培の場合
プランター栽培ならば、市販の培養土でOKです。肥料も入っていて、扱いやすいですよ。
プランターは深さが60cm以上あるものが良いです。
土を入れるのは8分目までにしておきます。
露地栽培の場合
露地栽培をするなら、苗植えの2週間前には土作りをしましょう。
1平方メートル当たり10リットルの堆肥と、苦土石灰50グラム程度を混ぜて耕します。
植える1週間前にも、化成肥料50グラム程度を混ぜておきます。
また、地植えなら畝を作っておくといいでしょう。
畝のサイズは幅90cm、高さ15cmです。
苗植えの仕方
苗の活着を促すために、午前中に行うことが望ましいです。
地植えする場合、作業前に育苗ポットを水につけるか、苗を植える穴に水をよく注ぎます。
株間は、地這い栽培ならつるが伸びるので90cm、支柱などを使って立体栽培するなら60cmはとりましょう。
苗を移動する際、根周りの土を崩さないよう気をつけます。
かぼちゃの手入れ
水やり
プランター栽培の場合は、土が乾燥したら与える程度で十分です。
地植えの場合は、基本的に水やりは不要です。
ワラを敷く
葉が茂り始め、ツルが伸び始める頃に行います。
実がなったら実の下にも敷いておきましょう。
敷きワラすると乾燥や虫害、実にカビが侵入するのを防げます。
地這い栽培なら、ワラによってツルが地表にしっかり固定されます。
支柱立て
プランター栽培などで十分な広さがない場合、支柱を立ててツルを誘引すると有効です。
①90〜100cm程の支柱4本、紐、網を用意します。
②かぼちゃの実を中心に据えて四隅に支柱を立てたら、周りに紐などを張って固定します。
風通しと株全体への日当りも良くなるので、病気を防ぐ効果も期待できます。
整枝・適芯
西洋種か日本種かで、方法が異なります。
西洋種の場合
西洋種は親づるに実がつきやすいので、敵芯はせず整枝のみ行います。
親づる1本に対して子づるを2本とし、残りの子づるは出る都度、除去します。
着果していない親づるも切ってしまって、風通しを良くします。
日本種の場合
日本種は、小づるに実がつきやすいので、小づるは4本残るように整枝します。
まず親づるの敵芯を、本葉が5〜6枚の頃に行います。
小づるが出て50cm程伸びたら、生育状況の良いものを残して整枝しましょう。
人工授粉
雌花が開いたら、人工授粉を行っていきます。
晴れた日の早朝に行うのがベスト!日が高くなると花がしぼんでしまいます。
花の下に丸い膨らみがある方が雌花です。
雄花から取った雄しべを、雌花の先端にこすります。
摘果
つる1本に対して実が3個なるように、雌花を切り取る作業です。
かぼちゃは次々と雌花を咲かせます。実がたくさん出来ると栄養が分散してしまうので、雌花を減らすことで実の生育を改善します。
特に根元付近の雌花は、実の品質が低くなるので、優先して取ってしまいます。
追肥
収穫までに2回、追肥を行います。
肥料を与えすぎると、つるばかり成長してしまうので、3回以上は不要です。
1回目は、かぼちゃの実がこぶし大の大きさになった頃、植え付けから約1ヶ月後です。
化成肥料を一握り、つるの先に追肥します。もし葉が茂っていたらついでに量を減らしましょう。
2回目は、最初についた実が大きくなる頃、もしくは次の実がつき始める頃です。肥料の量は1回目と同じです。
玉直し
どうせなら綺麗な見た目で収穫したいですよね。
実全体をきれいに色づかせるため、実の向きを変える作業が”玉直し”です。
収穫する1週間ほど前から、2日おきに行います。
コツは土と接する部分を変えることと、回転は90度以下にとどめることです。
同時に、実の下にトレーを置くのも有効ですよ。
プランター栽培の場合は、プランターごと回転させればOK。非常に楽ですね♩
病害虫対策
害虫:ウリハムシ
かぼちゃは害虫に強い野菜ではありますが、注意すべきなのは”ウリハムシ”です。
葉を食害する体長7〜8ミリの茶色の甲虫で、円形状の食跡を残します。
発生時期は、幼虫が6月中旬〜7月中旬頃、成虫は7月中旬〜8月中旬頃です。
予防策は雑草を茂らせないこと、幼苗へのネットも有効です。
光の反射を嫌がる性質があるので、シルバーマルチを敷くのも対策になります。
見つけたら捕殺しましょう。
病気:うどんこ病
湿度が低く、乾燥気味になると、葉や茎に白いカビのようなものが発生する”うどんこ病”に
なりがちです。発生した葉から別の葉に胞子が流れついてしまう可能性があるため、切り取って早めに処理しましょう。
予防策としては、乾燥状態を避けて適宜水やりをすること、日当たりをよくすることです。
窒素過多でも発生しやすくなるため、追肥時の窒素分は控えめにしましょう。
かぼちゃの収穫
人工授粉後、西洋種は40日〜45日後、日本種なら25日〜40日後に収穫できます。
また、ヘタの部分の状態も目安にできます。西洋種はコルク状、日本種なら褐色にヘタが変化したら頃合いです。
収穫方法ですが、ヘタをハサミで切り取って収穫します。
かぼちゃの追熟
かぼちゃは収穫後、追熟(一定期間置くこと)することで、甘さが増したり、果肉が柔らかくなります。
この一手間で非常に美味しいかぼちゃになるんです♩
追熟期間は1週間〜1ヶ月ほど。40日を過ぎると逆に糖分が水分に変わり、甘さや食感が落ちてしまいます。
追熟は風通しのよい、涼しい場所で行います。
ヘタがしっかり乾燥しきると食べ頃です。
若手農家のワンポイントアドバイス
・風通しと日当たりを確保することが大事です
・収穫後は必ず追熟をしましょう