桃の育て方・栽培方法のコツ|家庭菜園のプロが教える

桃の育て方・栽培方法のコツ|家庭菜園のプロが教える

桃の栽培時期・栽培カレンダー

甘くてみずみずしくジューシー、そして色も形もかわいらしい果物の女王様「桃」。

桃畑いっぱいに花が咲きほこる風景は「桃源郷」といわれる美しさです。

果実はとてもデリケートで、スーパーなどに並んでいる桃には、「触らないでください」などと書かれていて、ちょっと押しただけですぐに色が変わり食味がぐんと落ちてしまいます。

今回は家庭菜園のプロが、ご家庭でできる、桃の失敗しにくい育て方・栽培方法のコツを解説します!

家庭菜園では早生品種を鉢植え栽培で

家庭菜園では早生品種を鉢植え栽培で

桃は、食べるのは最高なのですが、育てるのは果実の中で最も難しいといわれています。

というのも、常に病気や虫、鳥に注意を払う必要があるからです。

農園では適切な農薬の力を借りながら育てていますが、家庭菜園で庭植えしてしかも、無農薬で育てるのは至難の業です。花はきれいに咲くのですが、実はなかなか収穫できないケースが多いです。

桃を家庭菜園で育てるには、「鉢植え栽培」「早生の品種」が最もおすすめです!

梅雨時に多発する桃の病気を、梅雨時には収穫できるようになる早生品種で回避し、
鉢植え栽培により、雨に当たらない場所へ移動できるからです。

苗の準備:一部の品種は受粉樹を植える必要あり

早生品種としては、5月下旬頃から収穫できる極早生種(“ひめこなつ”など)や“白川白桃”、“武井白桃などがおすすめです。

 

また、桃は、基本的に自分の花粉で受粉できます(自家和合性)が、一部の品種は自分の花に花粉が少なく、花粉の多い品種を受粉用に植えないと実がなりません。

別に受粉樹が代表的な品種としては、 “川中島白桃”や“清水白桃”といった最もおいしく高価な桃です。両品種とも中生から晩成の栽培が難しい品種ですが、自信のある方はチャレンジする価値アリです。

桃の苗木の準備:家庭菜園での桃栽培

最高級品種の清水白桃

 

桃の苗木の植え付け・土の準備:水はけの良い弱酸性の土に植えつけ

桃の栽培時期・栽培カレンダー

桃の木の植え付けは、11月~3月の厳冬期を除いた時期に行います。

土は庭土に腐葉土で栄養分や水はけを良くし、弱酸性から中性に調整します。

鉢植えの場合は、市販の果樹用の土を使用すればOK。

桃の木の仕立て:上に伸びないように芯を止め、横に広げる

1年生の苗は棒苗といって、1本の棒状になっていますので、50cmくらいの長さにカットして植えつけます。

2年目以降は棒状の苗(主枝)から出た枝のうち元気な2本を残し、ひもや支柱で横に広げます(開心自然形仕立て)。

3年目以降も上へ伸びる枝はカットしながら、できるだけ横に広がった樹形にします。

多品種接ぎ(ダブルプランツ)の桃の苗。枝が2本伸びるのが清水白桃、それに接ぎ木されているのが花粉の多い大久保。うまく成長すると2品種とも収穫できる

多品種接ぎ(ダブルプランツ)の苗。枝が2本伸びるのが清水白桃、それに接ぎ木されているのが花粉の多い大久保。うまく成長すると2品種とも収穫できる

桃の開花・人工授粉:花の数が多く、着果確率は高め

桃の開花・人工授粉:花の数が多く、着果確率は高め

桃の開花は桜(ソメイヨシノ)とほぼ同じ時期です。

桃は桜のようにぱっと咲いてさっと散るわけではなく、少し長い間咲いています。桜より長い間お花見ができますよ。

桃の開花・人工授粉:花の数が多く、着果確率は高め

桃の花は品種によりますが、一般的な色が桜より濃いピンク(白もあります)で、サイズも大きく満開になると非常に華やかな雰囲気です。花の数も多く、1本で実がなる品種は、花粉量も多く何もしなくても着果します。

受粉樹が必要な品種は、人工授粉をした方が着果率は高まります。違う品種の花を摘んでこすりつければOKです。

桃の摘果・袋がけ:着果後早めに袋がけ

桃の摘果・袋がけ:着果後早めに袋がけ

密集しているので摘果し、袋がけをする


桃は、梅やサクランボと同じようにかなりの確率で着果します。
そのまま放置すると梅のように小さい実しかできません。

そのため、自然落下が収まった5月頃に摘果(不要な実を取り除く)をして大きく育てます。

目安は最低でも、葉っぱ30枚に1果(葉果比/ようかひ)、枝にすると10cm以下だと3~4本に1果、30cm位までは1果です。

摘果に慣れていないと、ついついもったいなくて摘果数を少なくしがちですが、思い切って摘果してしまうのが肝心です。

摘果したら袋がけをします。「こんな早い段階から?」と思うかもしれませんが、病気や害虫対策には絶対に必要な作業です。

袋がけしてある桃

桃の果実は枝からすぐに実がついています。

袋がけがしやすい枝と果実を結ぶ軸部分(花梗/かこう、花柄[かへい])がほとんどないので少し難しいのですが、実を落とさないように気をつけて作業してくださいね。

桃の収穫

桃の収穫

おいしそうに色づいたら食べ頃


桃の実には袋がかけてあるので、その品種の収穫時期に来たら袋の中をのぞいて、色づきを確認してください。

市販されている桃のように、きれいなピンク色になったら食べ頃です。

桃の木の剪定:短果枝を残して間引く感じで

剪定は木が休眠中の12月から2月頃に行います。基本的には上へ伸びる枝の先端を1/3ほど切り詰めるのですが、15cm以下の短い枝(短果枝/たんかし)は、大きくて甘い実がなりやすいのでそのまま残します。横に伸びる枝は短果枝を残し、混み合ったところを整理します。

新梢が伸びる5月~6月頃に勢いよく上へ伸びる枝の先端を切り詰めると、伸びが一時的に止まり、冬の剪定が楽になります。

桃は花芽が枝の全域に点在しますので、先端を切り詰めても花がなくなることはありません.葉芽との区別も、花芽はふっくら、葉芽は細長いので分かりやすいです。ただ、切り詰めるとき先端を葉芽にしないと、たとえ実がなっても、収穫後その枝が枯れてしまうことがあるので気をつけてください。

桃の肥料:3月(元肥)、5月(追肥)、9月(礼肥)

肥料は3月(元肥)、5月(追肥)、9月(礼肥)に分けて、7:2:1の割合でまきます。

元肥をひと握り、追肥・礼肥は元肥から計算した割合で、株元から少し離れたところにばらまきます。

桃の病害虫:鉢植えは軒下へ

病気は、灰星病(はいぼしびょう)に注意が必要です。

灰星病にかかると成熟間近の実が白くなりミイラ状になってとても食べられる状態ではありません。雨に当たるとかかりやすいので、実に袋かけをし、軒下などに避難させてください

鉢植え栽培では、袋がけした頃〜収穫時期まで
雨に当たらない軒下などに移動して栽培してください。

桃栽培で注意する害虫は、蛾(モモノコマダラノメイガ)の幼虫(アオムシ)です。せっかくできた実に食いついて虫食いになってしまいます。

対策としては、できるだけ早く袋かけをすることで被害を少しでも防ぎましょう。

病気や虫の被害が出たら、やむを得ず薬品のお世話になることも考えた方がいいでしょう。

家庭菜園のプロによるワンポイントアドバイス

家庭菜園のプロによるワンポイントアドバイス

桃はデリケートで病気や害虫の被害に遭いやすい果実です。

雨にも弱いので家庭菜園では鉢植え栽培にして、できるだけ雨に当たらないようにしてください。

難しいだけに実が収穫できたときの達成感は半端ないですよ♩

それではまた!