太くてまっすぐな大根の育て方【若手農家が教える家庭菜園】

太くてまっすぐな大根の育て方【若手農家が教える家庭菜園】

大根の栽培カレンダー

難易度:初級
アブラナ科

 

大根おろしや刺身のつまのような引き立て役だけでなく、ぶり大根やおでんのように料理のメインとしても活躍する「大根」。

そんな大根を自分の手で収穫できたら嬉しいですよね。

初心者でも育てやすい野菜なのですが、「せっかくならば立派な大根を育ててみたい♩」という方は多いはず。

今回は、若手プロ農家が「太くて真っ直ぐな大根の育て方」を紹介していきます。

大根の栽培時期

大根の栽培カレンダー

大根は涼しい環境の方がよく育つため、またはに種まきを行います。

生育が早いため、種まきからたった2〜3ヶ月で収穫できるのはいいですよね。

4月にまいた大根でも真夏になる前には収穫できますよ。

また、寒い気候に強く、雪が降るような場所でも栽培が可能です。

土づくり

大根の土作り:畝の高さ

畝の高さは20~30cmに


大根はご存じの通り、縦に長〜く成長します。そのため、普通の野菜と比べて、畝(うね)の高さには要注意です。

水はけのよい土壌なら5〜10cm、水はけの悪い土壌なら20〜30cmの畝の高さがベストです。

▶︎簡単!畝立ての方法を見てみる

 

また、大根が伸びた先に成長を妨げる石や硬い土の塊があると、いびつな形の大根になります。

先割れしてしまった大根

二つに分かれしてしまった大根。
こうならないように筒で穴を開けておこう!


対策としては、種まき前に大根が伸びる先の土に対して、筒などを20cm-30cmほど差し込んでおくといいでしょう。

 

また、「さらに大きな立派な大根を育てたい」という余裕がある方は、黒色マルチを張っておくのがおすすめです。

マルチを張った大根畑

マルチをはるとこんな感じ。


冬場の保温効果により成長を促進させるのに加え、雑草が生えなくなるので、肥料が奪われずに大根がすくすくと成長してくれますよ。

「マルチは大変」という方はなくてもOKです。

種まき

大根の種まき

土づくりができたら、大根の種をまきます。
▶︎家庭菜園での種まきの基本をチェック!

株の間隔としては、青首大根(大きいサイズ)は30cm、ミニ大根(はつか大根等)は25cmあけましょう。

深さは人差し指の第一関節(2cm〜3cm)くらいの穴を開けると良いでしょう。

各株には種を3〜4粒を重ならないようにまき、軽く土をかぶせて手で密着させるようにおさえましょう。

種まき後は水やりをたっぷりしておきます

なお、土をえぐるほど強く水やりをすると種が顔を出してしまい発芽不良を起こすので、やさしく水やりするのがポイントです♩

種まきの方法は2種類
大根の種の蒔き方には2種類あり、状蒔き円蒔きがあります。
・”状蒔き”は主にマルチなしの場合に行います。種を重ならせないよう3〜4粒まきます。
・マルチをする場合でしたら、”円蒔き”です。直径1cmの穴をあけその穴の縁に沿って3〜4粒を等間隔にまくのが良いでしょう。

大根の手入れ

大根は適度な水・養分・日光があれば自らすくすく育ってくれますが、”ここはおさえておくべき”という手入れが3つあります。

手入れ①:双葉が出てきたら軸を土で包む

大根の手入れ:双葉が出てきたら土で包む

大根の双葉


双葉が出だした頃は軸が柔らかく、風で土が舞うとヤスリのように軸を傷つけてしまう事があります。

双葉が出だした頃に、土で軸をやさしく包んであげましょう

手入れ②:間引き

大根の手入れ:間引き1回目

大根の間引き(1回目)


大根の間引きは収穫までに2〜3回行います。

1回目は大きな葉(本葉)が2枚のとき、2回目以降は本葉が5〜6枚になった頃がベストタイミングです。

1回目は株を3本に、2回目以降は1本にまで絞ります。

大根の間引き(2回目)

大根の間引き(2回目)


間引くときは葉が土と垂直になっているものをハサミでやさしく切ります。

ちなみに、なぜ間引きを行うかというと、大きく育ちそうな苗を選別し、その1本の苗に栄養を集中させ、大きい立派な大根を育てあげるためです。

手入れ③:追肥

大根の根部分をさらに大きく育てるためには「追肥」が重要です。

▶︎追肥とは?与えるタイミングなどの基本を見てみる

 

2回目の間引きの段階で、追加で肥料をまきます。

 

追肥におすすめなのは、ぼかし肥料(米ぬかが主成分の肥料)やバランスの取れた以下のものがおすすめです。

 

追肥の量は少なめでOKです。大根は常に養分がたくさんある状態よりも、やや少ない状態を常に保っている方がよいのです。

追肥した後は、土寄せを行いましょう。

収穫

太くてまっすぐな大根の育て方【若手農家が教える家庭菜園】

いよいよ収穫です。

大根は収穫時期が近づくにつれて一度葉が立ち上がりますが、その後だんだんと葉が垂れてきます。

葉が垂れたら収穫のタイミングです。

収穫する際は、葉を痛めないように茎の根元部分をまとめて持ち、真っ直ぐゆっくり抜きましょう。

収穫した大根

ちなみに、秋に栽培を開始した場合は、そのまま冬の間も土の中で保管ができますよ

一方、春に栽培を開始した場合、夏の暑さに大根が耐えられないため、収穫しちゃいましょう。

病気や害虫によるトラブル

作物を育てる際に避けて通れないのが、病気や害虫による発育トラブル。

よくあるトラブルや、それに対するおすすめの対策法をご紹介します。

病気|萎黄病・軟腐病

萎黄病はカビが原因で発症する病気で文字通り葉が萎縮し、黄色く変色したりします。軟腐病は細菌が感染することで生じる病気で、シワシワに萎びて最後には腐って褐色に変色して臭いを発するようになります。

いずれの病気も罹ってしまった苗は残念ですが、他の苗に感染しないように抜き取って焼却処分をします。

また、可能であれば土の消毒や水はけの悪い部分などがないかをチェックして改善させましょう。

連作障害が起こる可能性もあるため、次の栽培までに数年の時間をあけるのが無難です。

害虫|モンシロチョウ・コナガの幼虫

モンシロチョウやコナガの幼虫は葉を食べて成長するため、大根の葉などに寄生して成長を邪魔することがあります。

対策としては、虫よけの薬を使ったり、防虫ネットを利用したり、定期的に見回りをして見つけ次第補殺しましょう。

プロ農家のワンポイントアドバイス

農薬を使用することに抵抗がある方は「コンパニオンプランツ」を一緒に植えるのがおすすめです。

コンパニオンプランツ・・・育てたい野菜や花のそばに植えることでよい影響をもたらす植物。

大根であれば、おすすめのコンパニオンプランツはニンジン・マリーゴールド・ルッコラです。

▶︎コンパニオンプランツについて詳しくみてみる

コンパニオンプランツ①:ニンジン

大根のコンパニオンプランツ:人参

ニンジンは、大根と成長環境が似ていて一緒に育てやすい野菜です。お互い直根なので近くに植えても、競合することはありません。

また、大根だけでなくニンジンにとってもいい影響があります。セリ科(ニンジン)とアブラナ科(大根)はお互いの害虫予防に効果的な組み合わせなんです。20cm間隔で植えると良いでしょう。

コンパニオンプランツ②:マリーゴールド

大根のコンパニオンプランツ:マリーゴールド

マリーゴールドは独特な匂いで、モンシロチョウ・コナガ・ダイコンサルハムシなどの害虫を寄せ付けない効果があります。

大根5〜6株にマリーゴールド1株の割合で植えると効果的です。

コンパニオンプランツ③:ルッコラ

大根のコンパニオンプランツ:ルッコラ

ルッコラは大根の株間や条間に植えることで生育促進害虫忌避の効果があります。

ルッコラはよく成長するので他の雑草が生えにくく、いわば自然のマルチになります。

そして、香りが強く辛みがあるので害虫が寄りつかないというメリットもあります

大根の条間畝の両肩の計3列にルッコラを筋蒔きするとよいですよ。

30日くらいで収穫できるので大根の生育の邪魔にもなりません。収穫ついでにルッコラもおいしくいただきましょう♩

家庭菜園で育てた大根を食べよう!

家庭菜園で育てた大根を食べよう!

いかがだったでしょうか?

今回は、ご家庭でもできる「立派な大根の栽培方法」をプロ農家が紹介しました。

野菜の中でも丈夫で初心者でも育てやすい大根ですが、紹介したポイントをおさえれば、あなたも立派な大根を収穫できますよ。

自分で育てた野菜を食べるといつも以上においしく感じるはずです。ぜひ採れたて大根を味わってみてくださいね♩

それではまた!