何年も同じ場所で野菜を栽培(=連作)していたら、
「なんか生育が悪いな?」「収穫量が減ったなぁ」ということが起こります。
そんなときは大体「連作障害」というものが起きています。
ひどい場合には野菜が全く育たないこともあるので、家庭菜園での注意するポイントでもあります。
今回は「連作障害の原因、連作障害が起こりやすい野菜、その対策方法5つ」を農家の私がご紹介します。
ぜひあなたも参考にして、素敵な家庭菜園ライフを送ってくださいね♩
連作障害の原因
「連作すると野菜が育ちにくくなる」というけれど、連作障害って具体的に何が起こっているのでしょうか?
「連作障害の原因は一体何だろう?」というお話です。
連作障害の原因①:土壌病害(病原菌が増える)
土壌の中にはさまざまな微生物と共に、病原菌も多く潜んでいます。
この病原菌の中には、特定の野菜に集まってくる種類のものもあります。
連作して同じ野菜を繰り返し栽培することで、ある特定の病原菌が集中して増えて、結果として病気になるリスクが増加するわけです。
代表的な土壌病害は以下の通りです。
青枯れ病 | ナス科 |
根こぶ病 | アブラナ科 |
つる割れ病 | ウリ科 |
萎黄病 | アブラナ科 |
半身萎凋病 | ナス科 |
連作障害の原因②:線虫害(線虫に寄生される)
土壌の中にはネコブセンチュウやネグサレセンチュウを含む、さまざまな線虫が潜んでいます。
本来であれば、”有益な線虫”と”有害な線虫”がバランスよく潜んでいますが、連作することでそのバランスが崩れてしまいます。
例えばある線虫にとっての好みの野菜(宿主)を育てると、自然とその線虫の数が増えていきます。
栽培が終わっても線虫類は土壌の中に潜んでおり、また同じ野菜を育てるとさらに増殖します。
これを繰り返すと、たくさんの線虫に寄生された野菜は弱り、最終的に枯れていくのです。
連作障害の原因③:生理障害(栄養バランスが崩れる)
野菜によって、必要とする栄養素の割合はそれぞれ異なります。
連作によって同じ野菜を育てると、その野菜が好む栄養素が多く消費されます。すると、成長に必要な栄養素が足りなくなり、さまざまな障害が発生するのです。
また反対に、栽培する野菜に合わせて肥料を施し続けると、ある栄養素が適量でも別の栄養素が過剰になって障害を起こすこともあります。
生理障害の代表的なものは、カルシウム不足、カリウム不足、窒素過剰などです。
連作障害が出やすい野菜・開けるべき栽培間隔
続いては、連作障害が出やすい野菜・開けるべき栽培間隔です。
家庭菜園をしていると結構気になりますよね。
実は連作障害が起こらない野菜もあり、発生のしやすさは野菜によって異なります。
同じ場所で同じ野菜(同じ科)を作るときは一定期間スパンを空けるのが一般的です。その空けるべき間隔のことを”輪作年限”と言います。
以下の表に野菜の”輪作年限”をまとめたので、参考にして栽培計画を立ててみてくださいね。
表の見方ですが、例えば、表の真ん中らへんの”トマト”だと、一度育てたら3〜4年はその場所で育てない方が良いという感じです。
輪作年限 | 野菜 |
なし | さつまいも、トウモロコシ、カボチャ、シソ、 |
1~2年 | キャベツ、ハクサイ、小松菜、大根、人参、 ネギ、春菊、ほうれん草 |
2~3年 | インゲン、そら豆、落花生、ゴーヤ、レタス、 |
3~4年 | トマト、ナス、ピーマン、ししとう、枝豆、里芋、 |
4~5年 | スイカ、ショウガ、エンドウ、ゴボウ |
(※輪作年限はあくまで目安となります。土壌環境やさまざまな要因によって変わりますので注意してください)
連作障害の対策方法5つ|家庭菜園におすすめ!
対策方法①:輪作する
連作障害を防ぐために有効なのが、「輪作」です。
異なる野菜(異なる科)をぐーるぐると順番に栽培していきます。
例えば、「小松菜(アブラナ科)→トマト(ナス科)→ニンジン(セリ科)→エンドウ(マメ科)」のように、同じ科の野菜が連続しないように栽培していきます。
こうすることで、土壌中の栄養分や微生物に偏りが出にくくなり、連作障害も起きにくくなります。
慣れない内は難しいかもしれませんが、育てる野菜をむやみに決めるのではなく、数年スパンで栽培計画を立てられるとGoodです。
対策方法②:混作する(コンパニオンプランツを植える)
異なる野菜を同じ場所に植える「混作」も、連作障害を抑える効果があります。
特に、一緒に植えることで良い効果が得られる植物のことを「コンパニオンプランツ」と呼びます。
連作障害の原因となる各種病害虫の発生を抑えてくれる効果がありますよ。
人気な組み合わせの一例だと、
- きゅうり×長ネギ
- トマト×ニラ
- ナス×マリーゴールド
- オクラ×マリーゴールド
があります。
コンパニオンプランツを植えることで「連作障害対策」になるだけでなく、家庭菜園での限られたスペースを有効活用でき、いろんな野菜の収穫が楽しめるのも嬉しいポイントです♩
対策方法③:接ぎ木苗や抵抗性のある品種を育てる
きゅうりやナス、トマト、スイカの栽培では、連作障害に強い接ぎ木苗を植えるという方法もあります。
“接ぎ木苗”とは、連作障害に強い品種を台木(根元)に繋ぎ合わせた苗のことです(例えば、下の部分がカボチャで上がキュウリという苗)。
穂木(実のなる部分)には味が良かったり、収穫量が多いものが使用され、連作しても障害が発生しづらいです。接ぎ木苗は自作することもできますが、難易度が高いので販売店で購入しましょう。
また、土壌病害に抵抗性のある品種を選ぶのもおすすめです。
例えば、根こぶ病に抵抗性があるものは「CR」、萎黄病に抵抗性があるものは「YR」の表記がされていますので、種子や苗を購入するときに探してみてくださいね。
対策方法④:土壌消毒
太陽熱による消毒や、土壌消毒剤による消毒で病害虫を死滅させて連作障害を防ぐ方法です。
家庭菜園では太陽熱による消毒が手軽でおすすめです。
消毒の方法ですが、消毒をしたいエリアに透明マルチを張って、1か月ほどおいておけばOK。
太陽熱により土壌が高温になり、病害虫を死滅できます。雑草の種にも効果があり、雑草発生を抑えることもできますよ。
ちなみに、有益な微生物や線虫類も同時に死滅してしまいますので、注意してください。
畑をリセットするイメージでおこない、あまり頻繁にはしないようにしましょう。
対策方法⑤:有機物の投入
“完熟たい肥”や”緑肥”を畑に投入することで、土壌中の微生物や栄養素のバランスが整いやすくなります。
・栄養素のバランスが整う → 生理障害の発生を抑えられる