採れたてブルーベリーはみずみずしくて本当に甘い♩
ブルーベリーはあまり背が大きくならず、コンテナでも栽培でき、植え付け2年目からでも少ないものの収穫も楽しめるという点で、家庭菜園でも人気がある果実です。
しかし、やみくもに苗を買ってきて植えただけでは実どころか育ってもくれません。
そこで今回は、家庭菜園のプロが「失敗しないブルーベリーの育て方」をわかりやすく解説します。
品種選び、植え付けの時期、肥料のあげかた、剪定といった”ブルーベリーの基本的な育て方“に加え、栽培初心者が失敗しやすい落とし穴&その対策を紹介します。
ブルーベリー栽培の基本:2本
ブルーベリー栽培のポイント
・必ず系統が同じで、2品種以上の木を植える
・用土は酸性に
ブルーベリーを初めて育てる方は驚くかもしれませんが、実はブルーベリーは1本では実がなりません。
1本で育てた場合、花は咲きますが、同じ品種の花粉では食べごろサイズの大きな実はほとんどつかないのです。
「系統が同じだけど品種は異なる」という2種を植えると見違えるように実がつきます。
また、ブルーベリーは酸性用土でないと育ちません。
こういった最初の段階で間違えさえしなければ、しっかりとした実をつけてくれますよ。
ブルーベリーの品種の選び方:相性最悪の2系統、ラビットアイとハイブッシュ
ブルーベリーには大きく分けて2つの系統があります。“ラビットアイ”と“ハイブッシュ”です。この2つの系統、実は相性がよくありません。相方には、同じ系統を選ばないとうまくいかないのです。
ブルーベリーは最初市販の苗から栽培するのですが、苗の説明を見て必ず「同じ系統の違う品種」を2種類選んでください。分からない場合は、お店のスタッフに聞くことをおすすめします。
系統1:ラビットアイ系
まずはラビットアイ系。つぼみがウサギの目のように赤くなるのでつけられた名称で、寒さには弱く、暑さには強い系統です。
栽培適地は関東から南で、開花時期は4月頃。7月から8月頃収穫できます。品種は数多くありますが、花の咲く時期はほぼ同じで、どの品種を組み合わせても問題ありません。少し高く、樹高は2.5mくらいになります。
系統2:ハイブッシュ系
そしてハイブッシュ系にはさらに、“ノーザンハイブッシュ”と“サザンハイブッシュ”という2つの系列があります。
その名前の通りノーザンハイブッシュは北の地方で、サザンハイブッシュは南の地方でよく育つ系列です。そのため、開花時期に少しずれがあります。
ハイブッシュ系は、ノーザン、サザンどちらでも受粉しますが、2品種を選ぶときノーザンかサザンどちらかに統一するほうが無難でしょう。収穫時期は5月下旬から7月上旬です。
ほかに、ハーフハイブッシュといって樹高の低いものや、最近では違う系列を交配したハイブリッドという系列もあります。いずれもハイブッシュ系列とは相性がいいようです。
品種はラビットアイ、ハイブッシュとも非常に多いので、実の大小、甘さ、育てやすさなどを店のスタッフに聞いて選んでください。
また、ブルーベリー農園の運営者がブルーベリーの苗をネット販売していることもよくあります。販売元で選んだ最適2品種をセットにしたものもあります。これなら安心ですね。
畑の準備:酸性土壌を好むブルーベリー
ブルーベリーは酸性土でしか育ちません。
庭植えで育てる場合は、掘り起こした土と同量のピートモスを混ぜ合わせます。ピートモスは“酸性度無調整”のものを使用してください。
コンテナ栽培の場合は、市販のブルーベリーの土を使うといいでしょう。
植え付け:冬に植える。1年目は花芽を取り去るのが原則
ブルーベリーは1年目から3年目までの苗が販売されています。3年目の苗が一番しっかりしていて、実なりも早いのですが高価です。1年目の苗は小さくて弱々しいのですが、安価(500円くらい)で意外とよく育ちます。
植え付け時期は11月頃から3月頃で、日当たり、水はけが良いところを選んで植え付けます。ただし、最も寒い1月から2月は避けたほうがいいでしょう。ポット内で固まっている根は土を取り除いてほぐしてあげます。
ほとんどの場合、購入した苗に花芽がついています。植え付けると花が咲きますが、1年目の苗の場合花はすべて取ってしまいます。花をつけておけば実になるのですが、1年目の苗の場合は栄養を株にまわして、しかりと育てることを優先します。実は翌年からの楽しみです。
2年目以上の苗の場合、そのままでも良いのですが、できれば30cm以上伸びている枝があったら、半分位切り詰めます。これもしっかりとし実なり良い株にするための方策です。
肥料:肥料は3回。元肥に追肥2回
最初に植え付ける場合は、植えた後土の表面に有機固形肥料を数個置きます。
2年目以降は、3月の芽が出る前に元肥(もとごえ)として窒素分の少ない果樹用の有機配合肥料を一握りくらい施します。
そして追肥は2回。6月頃新しい芽(新梢)が出る頃と、8月頃の実が終わった後に「お礼肥」を少なめに株元から少し離れてところに置きます。
花芽:花芽は枝の先に
ブルーベリーは実が終わり夏になると翌年の花芽がついてきます。
ブルーベリーの特徴として花芽は枝の先に方にできます。枝には先の方にふっくらとしたのが花芽、その下の方にあるほっそりととんがったのは葉芽です。大きさに注目すれば簡単に区別がつきます。
春には花芽から複数の花が咲き、実になります。1年目で花を咲かせなかった株にも翌年の花芽はしっかりとつきますので安心してください。
系統の同じ品種を2本以上植えてある場合は、受粉は虫にお任せです。
ただ、1本しかない場合や2本あっても違う系統のものや花の咲く時期がずれてしまった場合などは人工授粉をすると、多少ですが実がつきます。花を取って、花粉を雌しべにこすりつけてください。1つの雄しべで100花程度の受粉作業ができます
摘芯:摘芯は6月いっぱいまでに
6月頃、実の最盛期が過ぎる頃から、新梢(しんしょう)がどんどん伸びてきます。
ある程度伸びたところで、新梢の先端から1/4ぐらいのところを切り詰めます。
これを摘芯(てきしん)といい、切ったところから2、3本の新しい芽が出てきます。この芽にも実がつきますので是非摘芯を行ってください。
ただし、7月以降花芽ができる頃に摘芯してしまうと、花の部分を切ってしまうことになりますので厳禁です。
剪定:古い枝、伸びすぎた枝を間引く
ブルーベリーの木は数年たつと大きくなり実もたくさんつくようになります。
枝も混んでくるので剪定(せんてい)しましょう。
基本は長く伸びた枝の先端を切り詰め、ほうきを逆さまにしたような樹形にします。
剪定の仕方
手順①:まず、古くなり花が咲かなくなった枝を切ります。
手順②:また、30cm以上伸びた枝は花芽がつきにくいので、思い切って上から1/3程度カットしてください。
ブルーベリーは“ひこばえ”といって、根元から新しい枝が伸びてきます。これが後に古くなった枝と交代して活躍してくれるので、枝が混み合わない程度に残しておいてください。
病気・害虫:コガネムシや蛾の幼虫は要注意
ブルーベリーは病気には比較的強いのですが、害虫には注意が必要です。
特にコガネムシです。幼虫は土の中で成長するのですが、大好物がブルーベリーの根です。コンテナ栽培の場合は要注意で、植え替えのときなどに見つけて退治してください。
成虫は葉を食い荒らします。見つけたら即捕殺してください。
イラガなど蛾の幼虫も見つけたら即捕殺です。
鳥も狙っています。これにはネットをかける対策がおすすめ。
収穫
いよいよ収穫です。
ブルーベリーの収穫方法ですが、完熟した果実を素手で軽く引っ張って収穫します。
ブルーベリーは1粒ずつ成熟するため、同じ株から完熟している色の濃い果実のみを収穫しましょう。
5日おきを目安に収穫すると絶え間なく収穫できておすすめです♩
増やし方:挿し木で増やせるブルーベリー
ブルーベリーは挿し木(さしき)で増やすことができます。これはお得ですよね。
1年中いつでも行えますが、7~8月、11~12月の剪定後がおすすめの時期です。
挿し木の仕方
手順①:新梢を10cm程度のところで切り、葉を2枚程度残し、葉も半分程度まで切り詰める。
手順②:土に刺す部分を鋭利な刃物で斜めに切り、1時間程度水につけておく。
手順③:水から取り出し、ポットに入れたビートモスと赤玉戸を半々にした土に挿す。
手順④:ポットは日陰に置き、乾かないように管理する(1ヶ月〜3ヶ月程度で根が出ます)。
手順⑤:十分に根が出たら果樹の培養土を入れた鉢に1株ずつ植え、植え付け時期まで育苗する。
家庭菜園初心者には鉢植えやプランター栽培がおすすめ!
初心者におすすめなのは、鉢植えやプランターを使用するコンテナ栽培です。
コンテナ栽培の場合、コンテナの大きさ以上には育たないので、木が大きくなってきたら一回り大きなコンテナに植え替えます。
最初から大きなコンテナで育ててもいいのですが、コンテナを変えてその都度土を更新してあげると丈夫な木に育ちますよ。
家庭菜園のプロのワンポイントアドバイス
・植え付けは必ず酸性の土壌にする
ブルーベリーの栽培はこれにつきます。後は病気や害虫に気をつけて、ブルーベリー栽培を楽しみましょう。