玉ねぎは生のままサラダに加えたり、揚げものや炒めもの、ハンバーグのタネにも使ったりと、本当によく使う野菜ですよね。
また、栄養価も高く、生活習慣病の予防にも効果があるといわれているとても優秀な野菜の一つです。
そんな玉ねぎですが、ご家庭で作ってみたいと思ったことはありませんか?
今回は、「家庭菜園での失敗しない玉ねぎの育て方」を玉ねぎ農家が解説していきます!
おいしい玉ねぎが収穫できます♩
自分で育てた玉ねぎは、せっかくならば素材の味を生かしたレシピでおいしく味わいましょう。
オニオンステーキ・オニオンリング・オニオンスープ・丸ごと玉ねぎのレンチン蒸しなどがおすすめ♩
玉ねぎの栽培時期
玉ねぎは秋に種まきをして、翌年の春に収穫する栽培スケジュールになります。
栽培が長丁場になる野菜なので、すぐに栽培して食べたいという方には向かないかもしれません。
あっけなく栽培できるよりもじっくり育てたいという方にはもってこいの野菜です。
手間や時間を掛けた分だけ、収穫できたときの喜びは大きいですよ♩
苗床作り
玉ねぎは種をいきなり畑にまくより、先に苗床で苗を育てることをおすすめします。
苗床は盛り土などは行わず平たくならしておきます。その際に堆肥を混ぜるのを忘れないようにしましょう。
畑に苗床用のスペースがない方は、大き目のプランターや育苗ポットでもOKです。
種まき
先ほどの項で作っておいた苗床に種をまきます。
種は縦または横に10〜20cmほどの溝をつくり、その溝に沿って条まきします。
まいたあとはうっすらと土を被せてしっかりと土に圧力をかけて、種と土を密着させます。
また土が乾燥するのもよくないため、水やりを定期的に行って土が乾かないようにします。もし毎日の手入れが難しい場合はもみ殻で乾燥を防いだり、不織布を被せておくと乾燥を防げますよ。
条まきしているためたくさん発芽しますが、最終的には元気なもののみを残して間引き(6cm間隔ほど)します。
土作り
苗が育つ前に、苗植えのために土作りをしておきます。
苗植えの4週間前に堆肥、3週間前に石灰、2週間前に肥料を入れておくと玉ねぎが育ちやすいベストな環境が整えられます。
細かくて難しいかもしれませんが、この手順を踏めば大きな玉ねぎが収穫できますよ♩
また、玉ねぎは「リン」を多く含む肥料を選択すると大きく育ちやすいです。
植え付け
苗がある程度育ったら、畑に植え付けます。
苗の目安としては、太さ約6mm、高さ20〜25cm、垂直にすくっと伸びている苗がよいです。
植える際は指で軽く穴をあけ、そこに1本植えます。密集しすぎは発育不良の原因やカビの繁殖の原因になるため、あくまで15cm間隔であけた穴に1本ずつ植えていきましょう。
植えるときの注意点としてあまり深く植え付けないように気をつけてください。目安としては苗の根元に見える白い部分の半分が土に隠れるくらいです。
中には「浅すぎないか不安」という方もいるかもしれませんが、玉ねぎは自力でしっかり根を張れる性質を持つため、浅くても問題ありません。
玉ねぎの手入れ
雑草やネギ坊主の除去
大きな玉ねぎを収穫するためには、雑草とネギ坊主に注意です。
ネギ坊主とは玉ねぎの苗先にできた花の芽をいいます。
ネギ坊主は養分を玉ねぎ部分から奪うだけでなく、玉ねぎ中に固い芯をつくってしまうため、見つけ次第除去しましょう。
雑草も見かけたら抜くようにしましょう。植え付け前にマルチを貼っておくと、雑草の生長をおさえられますよ。
追肥
冬時期には、追加で肥料を与える”追肥“を行います。
過剰な状態は返って玉ねぎに悪影響を与えるため、株元にひとつまみの化成肥料を与えればOKです。
冬は日照時間も短くなるため、成長具合を見ながら肥料が足りないようであれば、その都度追肥を行います。
水やり
2月頃〜4月頃にかけて玉ねぎが肥大期に入るため、晴れが続く場合は、定期的な水やりが必要です。
この期間にも、2度ほど追肥(株元にひとつまみの化成肥料)しましょう。
収穫
冬が終わり、春になるといよいよ収穫時期に入ります。
玉ねぎの葉は苗の頃から変わらずすくっと立っていますが、収穫時期を迎えると自然に倒れていきます。
この”葉が倒れた時期“が収穫のベストタイミングです。
葉が枯れてしまうまで待つと、肥大しすぎてしまったり、葉から病気になる可能性もあります。
収穫の方法ですが、葉の付け根をしっかりと握ってゆっくり真上に向かって抜きます。
収穫した玉ねぎは腐らないように、しっかり乾燥させてから保存します。
病気や害虫によるトラブル
玉ねぎがかかりやすい病気や付きやすい害虫、およびそれらに対する対策を紹介します。
病気|べと病・苗立枯病
玉ねぎの病気としてべと病や苗立枯病があります。いずれの病気も原因は「カビ」で、堆肥や肥料にカビのエサとなる有機物が多く含まれていたり、多湿な環境などが原因で進行していきます。
べと病では葉が黄色くなり元気がなく垂れ下がってくるのが特徴で、成長後期に見られます。一方苗立枯病は文字通り「苗」の段階で生じる病気で、苗が細くひび割れたり、枯れてしまいます。
対策法ですが、カビが好む環境を作らないことが大切です。水はけをよくしたり、一度土をよく耕し肥料のバランスなどを見直すとよいです。
また、カビ系の病気におすすめなのが、アミスター20フロアブルという殺菌剤です。
農家も使っている殺菌剤ですので安全ですよ。
害虫|アブラムシ
アブラムシはさまざまな野菜の葉や茎に寄生し、植物の養分や水分を吸収する厄介な害虫です。
大きさは2〜4mmと非常に小さいため、よく観察しないと見つけられないこともあります。また、アブラムシはウイルスを媒介する特徴もあるため、玉ねぎにウイルス感染を起こす可能性も考えられます。
見つけたら早めに駆除しましょう。発生してしまったアブラムシには農薬を使うと寄ってこなくなり有効です。
さらに光を反射するテープを巻いたり、近寄れないように麦などで苗の周囲を覆ってあげるのもよいです。
プロ農家のワンポイントアドバイス
ここまでご紹介してきた通り、玉ねぎはやや栽培期間も長く、手順も他の野菜に比べて比較的多いです。
これらの手入れを面倒くさがらずに行うことが、玉ねぎ栽培の重要なポイントです。
「そんな手間のかかる野菜を育てるのはちょっと…」と思われる方もいるかもしれませんが、玉ねぎは一度収穫すると長期保存が可能です。
しっかり乾燥させて、多湿な環境を避けさえすれば、半年以上日持ちしますよ。