夏野菜の定番であるナスは、夏の暑さや雨にも強いので家庭菜園で人気の野菜です。
ただし、葉かきや整枝などの手入れが必要で、水や肥料をやるタイミングにも少しだけコツが必要です。
そこで今回は、ナス農家が「家庭菜園で失敗しないナスの育て方」を解説していきます。
水やりのコツや追肥の頻度、整枝の方法など1つ1つの工程を、写真多めでわかりやすく紹介するので、初めて育てる方でも安心ですよ。
ナスの特徴
水ナスのように丸いものから、長さが40〜50㎝ほどまで成長する長ナスまで様々な種類があります。
色も紫だけではなく白や緑があり、どの品種も同じ栽培方法で育てられます。
なお、畑や庭のスペースがない方でもプランター栽培も可能です。
高さ・幅・奥行きが全て30cm以上の大きめのプランターや鉢植えを選びましょう。
ナスの栽培時期
種まき | 2月中旬〜3月上旬 |
植え付け | 4月〜5月中旬 |
収穫 | 6月中旬〜10月 |
生育気温は23〜28℃です。日当たりと風通しが良い場所を選びましょう。
光合成ができないと花が咲かず実がならないので、置き場所には注意が必要です。
土作り
プランター栽培の場合は、ホームセンターなどで購入できる野菜用の培養土を使用すると失敗が少なくなるのでおすすめです。
鉢底に石を敷くなどして水はけが良い環境を作りましょう。
地植えの場合は、植え付ける2週間前に苦土石灰を150g/㎡まき、1週間前に堆肥を3~4kg/㎡と化成肥料(8-8-8)を150g/㎡まき、耕しておきます。
ナスは酸性の土壌に弱いので苦土石灰は忘れずに加えましょう(苦土石灰は土のアルカリ性を強めます)。
苦土石灰や堆肥を混ぜ合わせた後にすぐに植え付けると、根っこが痛み、枯れる原因となります。植え付け前に余裕を持って土作りをしておきます。
畝は幅70cm以上にし、1列で植えると管理がしやすくなるのでおすすめです。
ナスは連作に弱いのでトマトやピーマンなど、ナス科野菜を育てた土を使用するのは避けましょう。畑で栽培した場合、最低でも3〜4年は同じ場所での栽培は避けてください。
ナスの種まき
ナスは種から育てると栽培期間が長くなり温度管理が難しいため、苗から育てるのがおすすめです。
一応、種から育てたいという方向けに解説しておきます。
2〜3月に種をまく必要があるので、ビニールハウスなどの設備が必須になります。
ポットなどに3〜4粒ずつ種をまき、本葉1枚で1本に間引きします。
葉が5〜6枚になるまで温度調整をしながら育てます。
日当たりが良い場所で育てますが、高温になりすぎないように換気をして温度調整をしてください。
ナスの苗植え
苗の準備
ナスの苗はホームセンターやネットなどで入手できますが、中でも病気や連作に強い接木苗がおすすめです。
選び方のコツですが、葉に厚みがあり、緑が多く、葉が7〜8枚あって、ポットの底から飛び出るくらい根を張ったものを選ぶと良いですよ。
植え付けの方法
ナスの苗は4月〜5月中旬に植え付けます。
株間50〜60㎝あけ、1列で植えると管理が楽になります。
ポットの大きさに穴を掘り、中の土ごと植えつけましょう。
そして、植え付けたところから10〜15㎝離れたところに、長さ150㎝くらいの支柱を立てます。
苗の下から10〜15㎝のところで麻紐などで支柱に縛りましょう。
茎は太くなるのでゆる〜く結んでおくのがポイントです。
植え付け後はたっぷり水を与えましょう。
ナスの手入れ
ナスはお世話が必要な野菜です。
少し難しいかもしれませんが、ここをしっかり行えば、立派なナスがあなたを待っています♩
水やり
「ナスは水で育てる」と言われるほど、水分を多く必要とします。
土の表面が乾ききる前に水を与えてください。
ナスにつやがなく、皮が固くなると水不足のサインです。
夏の晴れた日は、朝と夕方の2回水やりをするとGood!
曇りの日や雨が降った翌日は土の様子を見てから水を与えましょう。
仕立て・剪定
大きいナスを作るためには、必要な枝の数を絞ってあとは切り落とすこと(剪定)が重要です。
剪定することで、栄養が集中し大きい実をつけてくれます。
また、風通しも良くなり、病害虫の予防にもなりますよ。
仕立て方法
仕立て方法は「2本仕立て」or「3本仕立て」の2種類。
味や実の大きさに変化はありませんが、収穫できる量が変わります。
プランターで栽培する場合は、管理がしやすい2本仕立てがおすすめです。
・3本仕立ては、1番花がなっている枝の脇芽とその上下1段ずつの脇芽を残します。
・2本仕立ては、1番花がなっている枝の脇芽とその上段の脇芽を残します。
それ以外の脇芽は全て切り落としましょう。放っておくと脇芽から葉っぱが生え、さらにまたそこに脇芽が出て、とどんどん茂っていきます。
また、下葉も切り落とし、株元はスッキリさせておきます。
さらに、日が当たっていない葉も随時切り落とします。
“細かく切り落とすこと”が大事なんです♩
追肥
ナスは肥料をよく使う野菜です。肥料切れにならないように気をつけましょう。
ただし肥料過多になると「双子ナス」のように形が変形してしまうので、あくまでも”適量”を与え続けます。
植え付けから3週間後に1回目の追肥を行います。
その後は2週間に1度、追肥を続けましょう。
1回の追肥に必要な量は、化成肥料20〜30g/㎡です。一握りは大体50gなのでその半分ぐらいですね。
肥料が足りているかどうかの判断は花を見ればわかります。
花の中の黄色い部分(雌しべ)の中から、緑の細長いもの(雄しべ)が出ていれば、肥料は足りている状態。逆に、雄しべが隠れてしまっていれば肥料不足です。
それでもナスは肥料食いなので、肥料が足りている状態でも2週間に1度の追肥はなるべく続けてください。
ナスの害虫対策
ナスはアブラムシやカメムシが主な害虫です。
放置していると数が増えていくので、見つけ次第、殺虫剤などで駆除しましょう。
葉の裏側につくことが多いのでよく観察してください。
日が当たっていない葉や枯れた葉を細かく取り除き、風通しを良くすることで害虫対策となります。
植え付け後1ヵ月はアブラムシの心配はありませんよ。
収穫
いよいよ収穫です。
育てる品種により大きさは異なりますが、収穫の目安は花が咲いてから20〜25日後です。
1段目と2段目の実をなるべく早く収穫し、大きく育てるのは3段目の実からです。こうすれば長期間収穫を楽しめますよ。
収穫の方法ですが、ヘタをハサミで切って収穫します。
ナス農家のワンポイントアドバイス
ナスは次々と実がなりますが、放っておくと秋ナスが収穫できるころには実をつけすぎて株が疲れてしまい、実の品質が低下します。
そのため、秋ナスを収穫する場合は「切り戻し」という作業をするとよいでしょう。
7月下旬〜8月上旬に枝の数を3分の1にし、各枝に葉が1枚ずつになるように切り落とします。
成長期に切り落とすことで、1ヶ月後に再び美味しいナスが収穫できるので、思い切って切りましょう。
枝と同じ理由から根もカットする必要があります。株から半径30㎝の範囲にスコップを垂直に入れ、根をカットしてください。
その後、追肥を行い、水をたっぷり与えましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ナスの植え付けから収穫までのポイントをまとめておきます。
・初めて育てる場合は苗から栽培する。
・苗は緑が多く、葉が太いものを選ぶ。
・ナスは連作に弱いため、ナス科を育てた後の土での栽培は避ける。
・株間50〜60㎝あけ、1列で植えると管理が楽になる。
・1番花がなったタイミングで剪定し、2本仕立てか3本仕立てにする。
・日が当たらない葉や枯れた葉はすぐに取り除き、風通しが良い環境を保つ。
・1日2回土が乾ききる前に水やり。雨の後や曇りの日は控えめに。
・追肥は植え付けから3週間後に1回目、その後は2週間に1度行う。
・1段目と2段目の実は小さいうちに収穫し、3段目から大きく育てる。
・秋ナスを収穫するさいは、枝と根を「切り戻し」して株の疲れをリセットする。
ナスの栽培は手入れが多く、少し説明が難しかったかもしれません。
もちろん全部を理解する必要はありません。自由に始められるのも家庭菜園の楽しいところですよね。
あなたが実際に育てていて何かわからないことがあった時、この記事に立ち戻ってくるときっと役立つと思います。
それではまた!