カレーやシチュー肉じゃが、豚汁などさまざまな料理に使用でき、主婦の心強い味方”ジャガイモ”。
そんなジャガイモを家庭で作れたら、愛着も湧き、食卓が和やかになること間違いなしです♩
「家庭菜園なんてやったことがないし、ジャガイモなんて育てられるの?」と思われる方もいるかもしれません。
ですが、ご安心を。今回は、プロのジャガイモ農家が「失敗しないジャガイモの育て方」を初心者向けにわかりやすく解説していきます!
ほくほくの自家製ジャガイモをあなたも味わうことができますよ♩
ジャガイモの栽培時期
ジャガイモは「3月に植えて6〜7月に収穫」または「8月下旬に植えて11〜12月に収穫」の年2回栽培することが可能です。
栽培期間は植えてから収穫まで「3〜4ヵ月」かかります。
寒い地域の方は3月上旬では雪が残っている場合や、四国や中国地方では8月下旬に台風が上陸する可能性もあります。
土作り
まずは、ジャガイモが育つ家になる「土」を作りましょう。
・深めに耕す(深さ25~30cm、幅30cm)
・バランスのよい肥料を適量混ぜる(pH5.5~6.0)
栽培する場所を、25cm~30cmの深さまでしっかり掘って耕します。他の野菜よりも気持ち深めです。
肥料はバランスの取れた以下のものがおすすめです。
幅30〜50cm・高さ10cmの畝を作って準備は完了です。
種芋の準備
ジャガイモには「メークイン」「キタアカリ」「インカのめざめ」などさまざまな品種がありますが、どれも栽培方法は大きくは変わりません。
あなたのお好きな品種を選んで楽しんでください♩
種芋専用の芋を用意する
スーパーで売られているジャガイモも種芋にできなくはありませんが、病気や虫が潜んでいる可能性があるので非推奨です。
種芋専用として販売されている芋を使うのがおすすめです。
芽出しと乾燥
買ってきた種芋は、日の当たるあたたかい場所で2〜3週間、ジャガイモの芽を出させる「芽出し」を行います。
芽出しが終わったら、半分に切って2〜3日切り口を乾燥させます。
湿気が種芋を腐らせてしまう原因になるため、湿気の多い場所には置かないよう注意してください。
植え付け:深めのところに逆さ植え
種芋が完成して栽培時期に入ったら、耕した土に植え付けしていきます。
植え付けの深さは約10cmほどです。浅すぎると後々じゃがいもができた時に光が当たってよくありません。
植え付けの方法ですが、切り口を上に向けて植える「逆さ植え」という方法で植えると病気に強くおすすめです。
当然ですが植えた直後は、芽は下を向いて伸びます。
しばらくすると、芽の中でも強いものだけが上へ向かって土から顔を出してきます。
つまり、逆さ植えは、弱い芽を淘汰し、強く生命力のある芽のみに絞ることができるというわけです。
間引き(芽かき):サイズUPには必須。しないのもOK
ジャガイモは生命力が強く、複数の芽が地上に顔を出します。
ここで、太く丈夫な芽のみを残す「間引き(芽かき)」という作業を行います。
間引きを行うことで養分がバラバラに分散することを防ぎ、集中して残した芽に養分を与えてあげられます。
1つの種芋から1〜2本になるまで間引きしましょう。
もちろん、「大きさにこだわりはない」「さまざまな大きさのジャガイモを育てたい」という方はあえて間引きしないというのもOK。
「どうせなら立派なジャガイモを収穫したい!」という方は芽かきが必須ですよ♩
土寄せ:ジャガイモを日に当てない工夫
葉がたくさん茂ってくる頃には土の中では新たなジャガイモ達が成長してきています。この頃には「土寄せ」という、茎の根元に土を5cmほど盛る作業を行います。
大きく成長してくると、地中のジャガイモが地面に顔を出してしまうことがあり、これを防ぐためです。
というのも、日光に当たったジャガイモは「緑化」と呼ばれる緑色に変色する現象が起こり、緑化部分には「ソラニン」と呼ばれる嘔吐や腹痛などを引き起こす成分が含まれます。
ソラニンは有毒で、一度緑色になってしまったジャガイモは食べられないのです。
土寄せは2回行います。
最初は芽が15cmくらいの高さになった段階で、2回目はその2〜3週間後に行います。
花摘み:養分をジャガイモ部分に行き渡らせる手入れ
ジャガイモがある程度育つと地上部分に「花」が咲きます。
小ぶりで可愛い花なのですが、花に養分が行ってしまうため、咲いた後は早めに摘みましょう。
せっかく咲いた花をもったいないと思われるかもしれませんが、間引きと同様においしいジャガイモを育てるためには必要な手入れなんです。
収穫
地上部分の葉が枯れ、黄色くなり始めたら収穫のタイミング。
収穫する際は湿気を避けるために、晴れた土の乾いている日に行いましょう。早めに梅雨時期や台風など天候をチェックして予定を組んでおきましょう。
収穫は、根元から50cmくらい離れたところからスコップで刺して少しずつ掘り起こしましょう。
あまり根元に近い部分を掘ると、スコップでジャガイモを傷つけてしまうことがあります。
土の中にジャガイモが残っていることもあるため、採り残しに注意してくださいね。
保存:鮮度を保つためのコツ
収穫したジャガイモは2時間ほどそのまま畑で乾燥させ、その後倉庫などの日光や雨が当たらない場所で2週間ほどじっくり乾かします。
このとき、土がついていても手で払う程度に留めましょう。水洗いしてしまうと湿気で腐ってしまったり保存状態が悪くなります。
日の当たらない場所に置いても芽が出てくることがあります。ジャガイモ部分の栄養を芽に取られないように、出てきたときはその都度取り除いてください。
よくあるトラブルとその対策法
ジャガイモを育てていると「なんだこれ?」というトラブルが起こります。
ここではよくある失敗とその対策をご紹介します。
生育不良
形が変色したり、中心に穴が空くことがあります。これらは土の温度が高すぎたり、水分や栄養が多すぎる、肥料のバランスが崩れることによって生じます。
水分・栄養もやりすぎは返って逆効果になるため、適度な量を与えるようにしましょう。
害虫
ジャガイモに付きやすい虫にはアブラムシ、テントウムシダマシ、ネキリムシなどがいます。
これらはジャガイモの葉や茎から水分や養分を吸い取ったり、食べてしまう害虫です。
寄せ付けない対策としては、防虫ネットが有効です。
もし見つけたときには補殺しましょう。
病気
ジャガイモの病気には、カビなどが発生する疫病、表面がかさぶた状になるソウカ病、ウイルスが原因のモザイク病などがあります。
これらの原因は土壌バランスが崩れていたり、湿気が多い場所での栽培が原因のことが多いです。
また、モザイク病のようなウイルスが原因の病気は種芋の段階から感染している可能性が高いため、種芋専用の芋を使用した方がよいというのはこのためです。
プロ農家のワンポイントアドバイス
おわりに:家庭菜園で収穫したジャガイモを楽しもう!
いかがだったでしょうか?
今回は、プロのジャガイモ農家による「家庭菜園でのジャガイモの育て方」を解説しました。
初心者の方でも失敗しないように、育て方をかなり細かく解説したので難しかったかもしれません。
もちろん全部を理解する必要はありません。自由に始められるのも家庭菜園の楽しいところですよね。
あなたが実際に育てていて何かわからないことがあった時、この記事に立ち戻ってくるときっと役立つと思います。
それではまた!
じゃがいもを浅く植えてしまうと、じゃがいもができた時に光に当たってダメになりやすいです。
◯土の塊や石を残さない
じゃがいもは土の中で大きくなるので土の塊や石に当たってしまうと形が凸凹になりやすいです。
塊の土はほぐし、大きな石は畑から取り除いておくとGood!