今年も『確定申告』の時期がやってきたね。
え?農家にも確定申告って必要なんですか?
当然だよ、農家も収入がある以上は確定申告をして適切に納税する義務があるんだ
けれど、いざ『確定申告する』となっても、何をどうすれば良いのか…
よし、今日は『農家の確定申告のやり方』について勉強しようか!
今回は、農家の確定申告の基本を初心者向けにわかりやすく解説します!
記事後半では確定申告をストレスなく済ませるコツも紹介しています。
まずは基本「確定申告とは何か?」をおさらい
そもそも「確定申告」とは、1年間の所得(売上ー経費など)を計算して税務署に申告し、所得税を確定させて納税するための手続きのことです。
会社から給料を受け取っている方の場合、この手続きは会社が「源泉徴収」を行うため、本人は年末に「年末調整」を行うだけであり、多くの方は確定申告を行う必要はありません(還付を受ける場合などは別ですが)。
しかし、農家のように会社から給料を受け取る形式ではない方の場合、所得額およ納税額を確定させるために、確定申告をしなければなりません。
国税庁のホームページでは、「確定申告が必要な方」として4つの類型を定めており、農家はこのうち4番目に相当します。
- 給与所得がある方
- 公的年金等に係る雑所得のみの方
- 退職所得がある方
- 上記3つに分類されない方
ただし、年間の所得がマイナスになる(経費の方が大きい)場合は、確定申告は不要です。
申告するべき所得があるにも関わらず、確定申告を行わなかった場合には、「無申告加算税」や「延滞税」「青色申告制度の承認取り消し」などのペナルティを科されることになります。
農業を営んでおり、1年で申告するべき所得が発生している農家は、3月15日までの間にきちんと確定申告を行いましょう。
個人事業主の確定申告のやり方
新規就農者を中心に、法人化していない農家の場合は「個人事業主」として確定申告を行うことになります。
個人事業主の確定申告には、大きく分けて「白色確定申告」と「青色確定申告」の2つの確定申告のやり方があります。
農家の白色確定申告
「白色確定申告」とは、後述する青色確定申告よりも簡単な形式で確定申告できる代わりに、特別な控除が受けられない形式の確定申告です。
個人事業主の農家の収入は「事業所得」のうちの「農業所得」に分類されます。
事業所得では、所得を計算・申告する上で「売上」と「経費」を明らかにする必要がありますが、白色確定申告ではこの申告を簡易的な手段で行うことが認められているのです。
農作物の収穫については、穀物の収穫があった場合には収穫した年月日と種類・数量の記帳が必要ですが、収穫物が穀物以外であれば詳細を記帳する必要はありません。
売上や、収穫した農産物を自家消費した場合には、取引を行った年月日と売上先の相手方、および金額の記帳が必要です。
原則として、これは取引ごとに記載する必要があるのですが、白色申告では少額の取引や請求書などで請求額を確認できる場合には、1日単位で項目の合計をまとめて記帳することも認められています。
費用を記帳する場合には、経費の区分を明らかにしたうえで取引年月日と支払先、支払った金額および取引の事由について記載しましょう。
農家の白色確定申告については、詳しくは以下の資料で確認できますので参考にしてください。
▶︎白色申告者の決算の手引き
農家の青色確定申告
「青色確定申告」とは、形式が少し面倒に感じる方も多いですが、その分だけ税制上の優遇を受けることができる形式の確定申告です。
農業所得も事業所得の一部であるため、青色確定申告の対象に含まれています。
青色申告をするためには、「所得税の青色申告承認申請書」を、事前に提出しておく必要があるので注意してください。
農業所得で「65万円の青色申告特別控除」を受けたい場合は、簿記の原則に従って「貸借対照表」および「損益計算書」を作成できる帳簿の記載が必要となり、その記帳については複式簿記の知識が必要です。
「10万円の青色申告特別控除」を受ける場合には、簡易記帳での記入が認められています。
- 現金出納帳
- 売掛帳、買掛帳
- 経費帳
- 固定資産台帳
- 農産物受払帳
青色申告では貸借対照表と損益計算書を添付する必要があり、これは農業以外の通常の確定申告と同じなのですが、確定申告書に添付する貸借対照表・損益計算書(白色の場合は収益内訳書)は、農業所得用に特化したものを用意しましょう。
農家の青色申告の詳しい書き方についてはこちらが参考になります。
▶︎青色申告決算書(農業所得用)の書き方
兼業農家の確定申告
農業を営んでいる方の中には、兼業農家の方も多いでしょう。
兼業農家ということは「農業所得以外に収入がある」ということです。
このとき、本業が別にあって「農業所得が20万円以下」であれば、確定申告は必要ありません。
(確定申告が不要な例)
サラリーマンとして会社から給料をもらっており、兼業で農家をしているが年間で20万円より低い農業所得の場合は、農業所得についての確定申告は不要です。
ただし、本業収入と農業所得の他にも収入源がある場合、給与所得以外のすべての所得の合計が20万円を超えていれば、確定申告が必要になります。
なお、農業所得の金額に関わらず、農業所得を得ている場合は「住民税」の計算方法が変わりますので、市区町村の住民課には「農業所得を得ていること」を必ず申告してください。
まだの農家は会計ソフトを導入せよ【確定申告をサクッと終わらせよう】
初めての確定申告であっても、2年目以降の確定申告であっても、一からすべて自力でこなしていては時間がかかってしまいます。
また、手計算では計算ミスや記帳漏れなどのリスクも高まるでしょう。正直、何らかのミスが必ずと言っていいほど生じます。
そこでおすすめしたいのが「会計ソフト」の導入です。
会計ソフトを使えば、確定申告に必要な財務諸表を簡単に作成することができ、農家の確定申告を強力にサポートしてくれます。
会計ソフトは色々ありますが、1つだけおすすめするとするとfreee会計が最強です。
まず、freee会計は農業簿記や農業所得の確定申告に対応しているのがありがたいです。
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とりあえず触ってみて、ご自身に合うかどうか検討することもできますよ。
会計ソフトを利用してミスなく簡単に確定申告を済ませよう
確定申告をストレスなく行うためには、普段のすきま時間にちょこちょこっと帳簿をつけておくことが大事です。
そして、令和の農家は会計ソフトを導入しましょう。全てを手計算やExcelで管理していると確実にミスが生じます。
確定申告の作業中に感じていた、「売上にも直接繋がらないし、なんか無駄な時間だな〜」という感情とはもうおさらばです!