家庭菜園の本などを見ていると、「春に種まきをしてください」とだけ書いてあることってありますよね。
ですが、何も意識せずに我流で種をまくと、上手く発芽しなかったり、十分に生育しなかったりします。
そこで今回は、農家の私が種まきの極意を豊富な画像でわかりやすく解説します!
種まきで気をつけるポイントや「この野菜にはこのまき方がおすすめ」ということがわかり、
この1記事だけで、種まきの基本をマスターできますよ♩
種まきの方法1:点まきとは
種まきの方法は大きく分けて3つあり、「①点まき・②条まき(すじまき)・③ばらまき」です。
まずは点まき。
収穫までにある程度大きく育ち、株間を空けて育てる野菜の種をまく方法です。
(例)豆類、ダイコン、オクラ、トウモロコシ
点まきの手順
手順①
それぞれの作物に適した株間を測りながら、まき穴を作ります。
底が平らな空き缶や、ペットボトルの底などを畝に押し付けると、ちょうど良いまき穴ができます。
もちろん指で適度な大きさの穴を開けても大丈夫です。
手順②
育てる野菜にもよりますが、まき穴の中に種を3~4粒まきます。
種が重ならないように種同士を少し離してまくと、後で間引きがしやすくなります。
手順③
種の上に土を被せましょう。
まき穴が平らになる程度に土を被せ、手のひらで押してしっかりと鎮圧してください。
鎮圧することで土と種が密着して、種が発芽に必要な水分を吸収しやすくなります。
種まきの方法2:条まき(すじまき)とは
続いて、条まき。
それほど広く株間をあけずに育てる野菜の種をまく方法です。
発芽後に間引きを数回して、野菜ごとに適した株間に調整します。
(例)小松菜、チンゲンサイ、ほうれんそう、春菊、ニンジン、ラディッシュ
条まきの手順
手順①
支柱や角材の角を畝に押し付けて、まき溝を作ります。
深さは1~2cmほどで、なるべく均一な深さになるようにしてください。
手順②
種を指でつまみ一粒ずつまき溝に落としていきます。
親指と人差し指で種を数粒ずつつまみ、指を少しずつずらしながら落とすとうまくいきやすいです。
1~2cmほどの間隔で種をまいていきますが、種が重なってしまうと、後で間引き作業が大変になります。
手順③
種を撒き終わったらまき溝の両側の土を指でつまむように寄せて、種の上に土をかぶせていきます。
土を被せたら上から手のひらでしっかりと鎮圧してください。
鎮圧することで土と種が密着して水分が吸収しやすくなります。
種まきの方法3:ばらまきとは
最後のまき方、”ばらまき”です。
読んで字のごとく、種をばらまいてまく方法です。
株間をそれほど必要としない野菜に適したまき方です。
このまき方は大量に芽が出てくることがほとんどなので、間引きを繰り返して適した株間に調整していきます。
(例)ベビーリーフ、ミニ人参、小松菜、ほうれん草などの葉物類
ばらまきの手順
手順①
畝を平らに整えたら、パラパラと種をまいていきます。
一部の場所に種が偏らないように注意してください。
目の粗いふるいなどを使うと、偏りなくまくことができます。
手順②
種を蒔いた後は、フルイを使って細かい土を畝の表面にかけていきます。
その後、木の板板などを使って軽く押しつけるように鎮圧してください。しっかりと鎮圧することで風で種が飛ばされるのを防ぐことができ、またタネが水分を吸収しやすくなります。
発芽率を上げる3つのコツ|農家が教えます!
さて、基本の種まきの方法を解説してきましたが、実は我流で種まきをすると、上手く発芽しないことが結構あります。
発芽しなければそもそも栽培がスタートしないので、大問題です。
これから紹介する3つのポイントを守れば、発芽率が大幅UPしますよ♩
ぜひ参考にしてみてくださいね。
①発芽適温
各野菜の種には発芽に適した温度があります。その温度に合わせてまくことが発芽率を上げるポイントになります。
いわゆる夏野菜は、発芽に高温が必要な場合がほとんどです。春先のまだ寒い時期に種をまいても十分に発芽しません。
一方、レタスや春菊などはそれほど高い温度は必要ありません。逆に夏の暑い時期にまくと、発芽しなくなってしまいます。
育て方の記事や種子の袋には、発芽適温や栽培カレンダーが記載されています。
同じ種類の野菜でも、品種によって違う場合もあるので、実際にまく品種に合わせた時期に種をまきましょう。
②光
野菜が生育するためには、光は大切です。しかし、種の段階では必ずしもすべての野菜が光を必要とするわけではありません。
野菜の種には、発芽に光が必要な”好光性種子“と、光で発芽が抑制される”嫌光性種子“があります。
好光性種子 | ニンジン、春菊、レタス、 |
嫌光性種子 | きゅうり、カボチャ、トマト、 |
好光性種子は覆土が厚すぎると、光が十分に届かずに発芽しなくなります。好光性種子を蒔いた後は、うっすらと種が隠れる程度に覆土するようにしてください。
一方、嫌光性種子をまいた後は、しっかりと土をかける必要があります。目安として、種子の大きさの約3倍の深さにするとよいですよ。
③水分
種が発芽するためには水分が必要です。
土の中の水分を吸収しやすくするために、種をまいた後はしっかりと鎮圧して種と土が密着するようにしましょう。
よく家庭菜園初心者の方で、種を優しく扱おうとするあまり、鎮圧せずにフワッと土をかけるだけの方がいますが、これは間違いです。
また、土が乾燥しすぎている場合は、水やりをして水分を供給しましょう。
晴天が続く場合は、種まき後に不織布をべた掛けしたり、藁やもみ殻を掛けて乾燥を防ぐのも良いでしょう。
しかし、いくら発芽に水分が必要とは言っても、毎日のように水やりをすると、種に酸素が供給されず、発芽しなくなってしまうので注意してください。
また、オクラやゴーヤ、ビーツ、パクチーなど硬い殻で覆われた種類は、一晩水に浸しておくと吸水して発芽しやすくなりますよ。