農薬は使いたくないけれど、虫食いが気になる…
どうやらコンパニオンプランツというものが有力らしい
このように家庭菜園でお悩みの方に向けて、農家の私が、コンパニオンプランツについて解説していきます!
・人気のコンパニオンプランツの組み合わせ
・それぞれの組み合わせにおける良い効果
・避けたい組み合わせ一覧
あなたの家庭菜園ライフがより豊かになること間違いなしです♩
コンパニオンプランツとは
コンパニオンプランツとは、「共栄作物」「共存作物」とも呼ばれ、お互いに成長に良い影響を与え合う作物の組み合わせのことです。
コンパニオンプランツをうまく取り入れて栽培すると、農薬を使わずに害虫を防げるなど色んなメリットがあります。
コンパニオンプランツの効果|どんなメリットがあるの?
コンパニオンプランツの組み合わせは、世界各地で伝統的に行われているものがたくさんあり、先人たちの経験と知恵が詰まった栽培方法といえますね♩
実はコンパニオンプランツの効果は1つだけではなく、本当にいろいろな効果があります。
害虫忌避|コンパニオンプランツの効果①
家庭菜園での一番の悩みの種、それは「害虫」ではないでしょうか?
コンパニオンプランツを植えることで、害虫を忌避できる効果が得られます。
害虫はそれぞれ特定の野菜(植物)を食べています。一方、食べない野菜はその虫にとって毒であることが多いです。
害虫類は臭いと色で野菜を判断しますが、複数の野菜を植えることで、害虫類が混乱し自分の餌となる野菜を見つけづらくなります。
また、臭いの強い野菜を植えることで、単純に害虫類を寄せ付けなくする方法もありますよ。
病気予防|コンパニオンプランツの効果②
コンパニオンプランツの中には、病気を抑える効果を発揮するものがあります。
野菜に共生している微生物や、野菜そのものにもつ殺菌効果などによって、病原菌を減らしたり、増殖を抑え、病気の発生を防ぎます。
生育促進|コンパニオンプランツの効果③
異なる種類の野菜を近くで育てることにより、それぞれの野菜から分泌させる特定の物質が、他方の野菜に働きかけて成長が促されるという効果もあります。
また、マメ科の野菜を植えることによって、根に共生する根粒菌の働きによって土が肥沃になり、肥料が少なくても生育が促進されます。
空間の有効利用|コンパニオンプランツの効果④
家庭菜園では栽培場所がなかなか限られており、「育てたい野菜がたくさんあるけどどうしよう?」という方も多いのではないでしょうか?
コンパニオンプランツとして相性の良いもの同士を一緒に育てることで、本来であれば空いていた空間で別の野菜を育てられます。
空間を有効利用でき、結構おすすめです♩
代表的な野菜とコンパニオンプランツの組み合わせ一覧
ここからは、家庭菜園で人気の野菜それぞれに対する、おすすめコンパニオンプランツをご紹介!
コンパニオンプランツとして栽培される組み合わせは膨大にありますが、まずはこの5つをおさえておけばOKです。
きゅうり|良いコンパニオンプランツの組み合わせ①
きゅうりにおすすめのコンパニオンプランツは長ネギ(葉ネギ)、ムギです。
きゅうりの定植時に、長ネギを添えて植えると、長ネギから出る抗生物質により土壌中の病原菌が減らされ、つる割れ病などが発症しにくくなります。
また株間や畝間にムギをまくのもおすすめです。ムギをおとりにして、うどんこ病菌に寄生して死滅させる「菌寄生菌」を増やすことで、きゅうり栽培でやっかいな「うどんこ病」の発症を減らします。
オクラ|良いコンパニオンプランツの組み合わせ②
オクラにおすすめのコンパニオンプランツはマリーゴールド、枝豆です。
オクラは線虫の被害に遭いやすいです。マリーゴールドを混植することで、根に線虫をおびき寄せ、死滅させる効果を期待できます。
枝豆は、根に共生する根粒菌の働きにより、土を肥沃にします。肥料をたくさん要求するオクラの生育を促進させる効果が期待できます。
トマト|良いコンパニオンプランツの組み合わせ③
トマトにおすすめのコンパニオンプランツはバジル、落花生です。
バジルを株間に植えると、バジルの匂いによってアブラムシなどを忌避する効果が期待できます。また、バジルが適度に水分を吸収することによって、トマトが水っぽくならず、甘くなります。
トマトは肥料が多すぎると果実が水っぽくなり、美味しく育ちません。落花生を混植することで、落花生の根につく根粒菌の働きで土が肥沃になり、追肥を施さなくてもよく育ちます。
ナス|良いコンパニオンプランツの組み合わせ④
ナスにおすすめのコンパニオンプランツは生姜、パセリです
ナスの株間に生姜を植え付けると、生姜の匂いによってナスに付きやすいアワノメイガ類を遠ざけます。また生姜の殺菌効果で土壌中の病原菌が減り、各種病気を減らす効果も期待できます。
またショウガは夏の強い日光が苦手ですが、ナスのおかげで適度に遮光されてよく育つといういい点も。
パセリを一緒に植えることで、セリ科独特の香りによってナスにつく害虫を防除します。また同時にナスの香りによってパセリを好むキアゲハの被害も少なくなりますよ。
ピーマン|良いコンパニオンプランツの組み合わせ⑤
ピーマンにおすすめのコンパニオンプランツは、ナスタチウムとニラです。
ピーマンの畝の肩にナスタチウムを混植すると、ピーマンに寄ってアブラムシを遠ざけます。また葉や茎につくハダニやアザミウマなどを求めて、天敵がやってきてくれ、その結果ピーマンの害虫の被害が減ります。ナスタチウムはエディブルフラワーとしてもサラダなので利用できますよ。
苗を定植する時にニラを添えて植えると、ニラの根に共生する細菌から抗生物質が出てきて、ピーマンに害のある病原菌を減らしてくれます。
野菜の科ごとのコンパニオンプランツ一覧
コンパニオンプランツとして相性が良い組み合わせは膨大にあります。
ですが全部を覚える必要は全くありません。
野菜の科ごとに特徴があるため、科ごとに覚えておけば応用がききますよ。
以下の表にまとめましたので参考にしてみてください♩
科 | 主な野菜 | 特徴 | 相性の良い科 |
アブラナ科 | キャベツ、小松菜など | 香りで害虫忌避を忌避する | キク科 |
イネ科 | トウモロコシ | 不要な養分を吸収する | ウリ科、マメ科 |
キク科 | シュンギク、レタスなど | 香りで害虫を忌避する | アブラナ科 |
セリ科 | ニンジン、パセリなど | 香りで害虫を忌避する | アブラナ科 |
ネギ科 | 長ネギ、ニラなど | 土壌中の病原菌を減らす | ウリ科、ナス科 |
マメ科 | 枝豆、インゲンなど | 根粒菌の働きで土を肥沃にする | ナス科 |
コンパニオンプランツの注意点
注意点①:避けた方が良い組み合わせ一覧
コンパニオンプランツはお互いに良い影響を与えますが、逆に悪い影響を与える組み合わせもあります。
代表的な組み合わせを表にまとめましたので、以下の組み合わせで育てていないかチェックしてみましょう♩
メインの野菜 | 避けたい野菜 | 障害 |
イチゴ | ニラ | 生育が悪くなる |
きゅうり | いんげん | 線虫が増える |
スイカ | いんげん | 線虫が増える |
ダイコン | 長ネギ | 枝根になる |
トマト | じゃがいも | 生育が悪くなる |
ナス | トウモロコシ | 生育が悪くなる |
ニンジン | いんげん | 線虫が増える |
ジャガイモ | キャベツ | 生育が悪くなる |
レタス | ニラ | 生育が悪くなる |
キャベツ | ゴマ | 生育が悪くなる |
注意点②:農薬について
コンパニオンプランツを混植する場合、大抵の場合はすぐ近くに植えることになります。
もし農薬を使用する場合には、両方の野菜が登録されている農薬を使用するというのが重要です。
というのも、農薬は「使用できる作物」が決められており、「使用できる作物」以外の作物には使用できません(参考:農林水産省「農薬を使用することができる作物群」)。
近くに植わっているため、どちらか片方にだけかけるということが難しくなります。
必ず、「両方の野菜が登録されている農薬かどうかを確認する」or「農薬なしで育てる」ようにしてくださいね。
それでは素敵な家庭菜園ライフを!