庭木としてよく植えられる果樹「びわ」。
長崎の「茂木びわ」なんかは有名ですが、店で見かけることも少なく、旬がいつ頃なのか知っている人は少ない不思議な果物ですよね。
今回は家庭菜園のプロが、鉢植え栽培でもできる、びわの簡単な育て方・栽培のコツを解説します!
耐寒性があり、初めて果樹を育てるという方にもおすすめの果樹です♩
6月が旬のびわ。鉢植え栽培で大きな実を収穫
びわの旬は6月。サクランボより少し前になります。実が黄色いのでなんとなく秋頃と思いがちなのですが、意外にも初夏です。
日本では昔から庭木としても植えられてきたので、大きな木に黄色い実が鈴なりになっている姿をよく見かけます。
びわは成長力が旺盛で、庭植えだと大木になり、管理がしにくくなります。
そのため、管理しやすくおいしい実を収穫したいのであれば、鉢植え栽培がおすすめ。
また、寒さ対策の点でも鉢植え栽培は有利です。
びわの木自体は寒さに強いのですが、果実の耐寒気温はマイナス3℃位しかなく、寒さに当たると結実しなかったり、実が成長しないことがあります。
そのため防寒対策は欠かせないのですが、鉢植え栽培では、室内や北風の当たらない軒下などへ引っ越して、すっぽりと寒冷紗をかけることもできるのです。
びわの苗:接ぎ木苗は2~3年で実がなる
びわの苗は、1年苗でも葉がついています。2年苗、3年苗も販売されていて、季節によって実のついているものや、花が咲いているものもあります。
どの苗でも成長力が強いので栽培は難しくありませんが、中でも失敗しにくい「接木苗」を購入するのがおすすめです。
種から育てると10年近くかかりますが、接ぎ木苗だと2~3年で結実します。
代表的なびわの品種は、長崎県で多く栽培されている、45g程度と小さめの実ながら甘みが強い“茂木(もぎ)”と、主に千葉県で栽培されていて、約70gと大果の“田中”です。
田中は、枝が横に伸びる傾向があり、樹高を押さえることができるので、鉢植え栽培には田中系の品種がおすすめです。
土の準備:栄養分が多く水はけのよい土
土は中性から弱酸性で、水はけのよい土が適しています。
鉢植えの栽培だと、市販の果樹用の土が最適です。
びわの植え付け|植え付け時期は10月上旬~4月
苗は10月上旬〜4月までの極寒期を除いた時期に、切り詰めずそのまま植えてください。
植え付けの際、接ぎ木部分は埋めないようにしますが、あまり浅く植えないようにします。
びわの仕立て:1本の主枝から枝を伸ばす「開心自然型仕立て」
びわの木の仕立て方法ですが、真ん中の主枝をまっすぐ伸ばし、枝が混み合ってきたら間引く「開心自然型仕立て」がおすすめ。
高さが2m位になったら、主枝を切り戻して芯の生長を止めましょう。
摘蕾・摘花|10月~2月
びわはつぼみの量が半端なく多いのが特徴です。
10月頃からその年に伸びた新梢(しんしょう)の先端に茶色のつぼみがつき始め、翌年の2月頃にかけて順次花が咲いていきます。
全部咲かせると小さな実になってしまうので、つぼみの段階で思い切って摘み取る「摘蕾(てきらい)」をします。
果房(かぼう)ごとに何本かの軸につぼみがついているので、作業がしやすい下向きの軸を2~3本残し、ほかは全部切り取ってください。
摘果・袋がけ|3月中旬~4月中旬
春になると冬の寒さに耐えた実が大きくなってきます。
最終的に1つの果房に“田中”の場合は1~2果、“茂木”の場合は3~4果程度に摘果(てきか)します。
これが実を大きくするために最も重要な作業です。
そして、摘果後は市販の果樹袋を果房をすっぽりと包むようにかぶせます。
びわの収穫|5月中旬から6月
いよいよ収穫。びわの収穫は5月中旬〜6月です。
果実が均等に黄色く色づき、張りのあるものから順次収穫します。
遅れると表皮にしわができたり、色が変わってくるので、試し穫りしながら適期を伺いましょう。
芽かき|4月~9月
枝の先端部分には次々と芽が出てくるのですが、先端を残しそれ以外の芽を間引きます(芽かき)。
芽かきは芽の先が伸びてくる4月頃から順次始めてください。
剪定|9月~10月
びわは成長力が強く、どんどん大きくなります。
高さは芯を止めることによって抑えられますが、枝は次々に出てきて混み合ってしまいます。混み合うと風通しが悪くなり、病気の原因にもなるので間引きましょう。
ここでポイントですが、全体的に枝の先を短くするのではなく、枝の本数を減らすイメージです。
というのも、枝の先端に花芽がつくので先端を切り詰めると実がならなくなるのです。
残す枝はそのままにして、間引く枝は枝元から切るようにしてください。
びわの病害虫と鳥被害
びわは病害虫はあまり気になりませんが、熟した実を鳥が狙います。
果実に袋をかけていれば防げますよ。
びわの肥料:施肥は元肥7、追肥2、礼肥1の割合で
肥料はチッソ分が少ない有機質を多く含んだ有機配合肥料がおすすめ。
元肥(もとごえ)として3月に一握りを、果実の成長を促すために6月に元肥の1/3程度を追肥(ついひ)として幹から少し離れたところにばらまきます。
実が終わったあと元気がなかったら、礼肥(れいひ)として9月頃に元肥の1/4程度を与えます。
種には有害物質。サプリメントでも気をつけて
びわは、最近では健康食品として、葉や種に注目が集まっています。
葉を乾かして発酵を促し、それを弱火で煎った「びわ茶」や種を粉末にしたサプリメントが有名です。
葉は問題ないのですが、種には青酸などを含むシアン化合物という天然の有害物質が含まれています。「大量に摂取すると健康を害する」と農林水産省からも警告が出されています。
自己流で種を加工したりするのはやめておきましょう。
プロのワンポイントアドバイス
びわは成長力が強いので、鉢植えを使い、管理しやすいサイズで育てましょう。
摘蕾や摘果、剪定、寒さ対策などの多少の世話が必要ですが、大きく育った果実はとてもおいしくジューシーです♩
びわゼリーなんかにしても絶品です。
それではまた!