野菜を育てる上で大切な作業「間引き」。
せっかく種から育てた芽を抜いて処分するのはもったいないと感じる方も多いかもしれません。
しかし間引きを怠ると、病害虫の被害にあったり、大きく成長しなかったりと、収穫までたどり着かないこともあります。
この記事では、農家の私が、家庭菜園で使える間引きの上手な方法やコツを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね♩
間引きとは?
間引きとは、種をまいて発芽した株を適度に抜いていく作業のことです。
野菜の種をまき、発芽してきた株はそのすべてが元気に育つとは限りません。中にはひ弱な株や、もともと異常のある株なども混ざっている可能性もあります。
そういった株を中心に抜き取って、適切な株間を維持していきます。
間引きの目的・効果
成長スペースの確保|間引きの目的・効果①
間引かずに育てると、隣同士の株が重なりあって、十分に成長するスペースがなくなります。
特に大根や人参などの根菜類は、土の中で可食部が太ることが出来なかったり、お互いを避けて成長し、いびつな形になることもあります。
栄養の集中|間引きの目的・効果②
多くの株があると、当然ながら1株に対する栄養分、肥料分が分散してしまいます。
そのため間引きをしないと、栄養分が不足して十分に成長できない可能性があります。間引きをすることで、1株に対する栄養分を集中させて生育がよくなるのです。
日当たりの確保|間引きの目的・効果③
間引きをしないと、隣り合わせの株の葉と葉が重なり合って、日当たりが悪くなります。
十分に日に当たらないと、ヒョロヒョロと成長する徒長がおき、健全な株に育ちません。
間引きをして、株間を十分にあけることで、それぞれの株の日当たりが良くなり、生育がよくなります。
病害虫の予防|間引きの目的・効果④
隣同士の株が近いことで、風通しが悪くなるとさまざまな病気が発生しやすくなります。
また健全に育っていないことで、病害虫の被害を受けやすくなります。
間引きをして、風通しが良くなれば、病気の発生を抑えられますし、健全に育つことで病害虫に強い株に育てられますよ。
間引きの仕方|具体的に いつ? どのくらいの株間?
間引きのタイミング・最終的な株間の目安
まず、発芽して本葉が出てきた頃が1回目の間引きのタイミングです。
その後、成長して隣の株と葉が触れ合うようになった頃を目安に数回の間引きを行い、株間を調整します。
最終的な株間は野菜や品種によって違うので、以下の表を参考にしてみてください。
最終株間 | 野菜 |
10cm | ラディッシュ、人参、小松菜、カブ |
15cm | チンゲンサイ、春菊、水菜 |
30cm | 大根、白菜、トウモロコシ、枝豆、インゲン、オクラ |
「1回目の間引きで、最終的な株間にしておけば良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、一度に間引きをしてしまうと、その後残した株に病害虫などが発生した場合、収穫できる株が少なくなってしまう恐れがあります。
リスクを分散するためにも、まずは多めに植えて、数回に分けて間引きをしていくのが大事です♩
間引く株の基準
間引く株のポイントですが、成長が悪いもの、色が薄いもの、形の悪いものを選びましょう!
なるべく元気で生育の良いものを残した方が、最終的な成長もよくなります。
もしも密集して混みいっている場合には、健全な株も含めてまとめて間引きをし、十分な株間を確保しましょう。
間引きの方法
間引く時に大切なのは、残した株にダメージを与えないことです。せっかく生育の良い株を残そうと間引きをしても、間引くときにキズなどを付けてしまっては元も子もありません。
株が小さいうちは、指で摘まむと隣の株間で摘まんでしまうことがあるので、ピンセットを使うのがおすすめです。
密集していている場合は、土の中で根が絡み合ってる場合があるので、1本抜いたつもりが複数抜けてしまうこともあります。そんな場合は、ハサミで根元をカットする方が、他の株に影響が出にくいですよ。
逆に、間引きをしない方がよい野菜
中には、間引きをしないほうが良い野菜もあります。
枝豆、インゲン、オクラなどは数本ずつ植わった密植栽培の方が、収穫量が多くなります。このような野菜の場合、1穴に5粒程度種をまき、発芽した数本をそのまま育てます。全てが発芽した場合は、数本間引いて調整してください。
また、同じ種類の野菜の中でも、一般的な品種よりも株間を狭めたほうが生育がよくなる品種もあります。種の袋に適切な株間が記載されているので、しっかりと確認し、必要以上に間引きをしないようにしましょう。
間引き菜の利用|家庭菜園ならでは!
間引いた株は、間引き菜として食べられます。小さなうちはベビーリーフとしてサラダにするのがおすすめです。葉が柔らかいので、普段は生食しない野菜でも生で食べられます!
ある程度成長した間引き菜も、炒め物や汁物、天ぷらなんかに利用できます。
普段では味わえない「家庭菜園ならではの味」を楽しめます♩