暑い夏にキンキンに冷えた真っ赤なスイカ🍉
「家庭菜園でスイカを育ててみたい」一度はそう憧れたのではないでしょうか?
とはいえ、スイカは野菜の中でも栽培難易度が高いため、なかなか手を出しづらかったり、過去に失敗したという方も多いでしょう。
そこで本記事では、家庭菜園のプロが「失敗しないスイカの育て方・栽培方法のコツ」を詳しく解説します。
画像多めで解説していくので、1つ1つ読み進めて栽培すれば、あなたもおいしいスイカを収穫することができますよ♩
スイカの栽培時期
スイカはアフリカ原産といわれていて、寒さや霜にはめっぽう弱いです。
スーパーなどでは、3月頃から熊本県のハウス栽培ものが出回りますが、家庭菜園で栽培するときは7月〜8月初旬頃が旬の果物です。
やはりイメージ通り、夏の果物ですね。
スイカ栽培の特徴
スイカはツル性の植物で、横に伸びていったツルに果実がつきます。
そのため、広いスペースが栽培に必要になってきます。
最低でも1株につき1坪必要といわれますが、作業スペースなどを考えるとその倍近い広さ(2坪)を確保しておいた方がいいでしょう。
また、スイカは日当たりがよい場所でよく育ちます。強い光と高い気温を好む野菜です。
さらに、スイカは多湿で病気になることが多く、水はけの良い土壌であれば最適です。
スイカの苗の準備:接木苗がおすすめ
家庭菜園の場合、種から栽培するのではなく、接木苗を購入してきて栽培を始めるのがおすすめです。
接ぎ木苗とは、病気に強い台木(だいぎ/根になるカボチャなどの苗)に、接木(台木に穂木を接いだもの)した苗のことです。
少し値段が高いですが、病気にも強く、成功確率は格段に高くなります。
食べたスイカの種を植えて育てるのは非推奨です。
スイカは1代交配といって、2代目以降はおいしくなくなる確率が高いためです。
スイカ栽培の土作り:土壌は中性に調整、元肥は気持ち少なめに
スイカ栽培は2週間ほど前から土の準備をしておきましょう。
苦土石灰、有機石灰を1㎡あたり100g(ひと握り)程入れてよく耕します。同時に堆肥を十分(1㎡に2kg位)に入れると、とても良い土壌になります。
1週間前には、元肥(もとごえ)として、窒素分が少なく、カリ分が多い肥料をよく混ぜ込みます。おすすめは、ホームセンターなどで販売している果実用の配合肥料です。使用量は袋に書かれている量に従ってください。化成肥料でも構いません。
元肥が多すぎると、ツルと葉っぱばかり伸びて実がつかないという残念な結果になる場合があります。
スイカの植え付け:根元の地熱を確保しよう
スイカは寒さや霜に弱いため、植え付けは遅霜が終わってから行います。
具体的には、露地栽培では5月になってから、トンネルを使っての栽培だと4月中旬になってからです。
スイカの苗は、購入してからポットを少し大きめのものに移植し、しっかりするまで育てておきます。本葉が4~5枚ぐらいになった苗が理想です。
土台になる土を高さ10cm、幅60~100mに盛り上げておきましょう。
地熱を確保するためマルチ(黒または透明)やもみ殻をかけておいたり、さらにその上からトンネルを施したり、透明なキャップをしたりすると万全です。
下の画像のように、四隅に支柱を立てて肥料袋で覆えば、即席の寒さよけが完成です♩
摘芯・整枝:親ヅルを摘芯し、子ヅル4本に整枝
定植後の最初の作業は、摘芯(てきしん)といって摘み取る作業です。
本葉が5~6枚になると「子ヅル」が葉のつけ根から出てきますので、その中から元気の良いものを4本残し、親ヅルは先端を摘み取りましょう。将来この「子ヅル」に果実がつきます。
スイカのツルは子ヅルから孫ヅルが伸びてきます。孫ヅルは受粉させる雌花までものは全部取ってしまいましょう。受粉した雌花(着果)から先は放任しても構いません。
ツルの下には、もみ殻やわらなどを敷いて育ててください。
スイカの開花:一番花は摘み取り、授粉は2番花から
スイカは雌雄別花です。花は葉が7~8枚の頃には咲いてきます。
雌花は花びらの下にもうスイカのような小さい玉がついていて見分けがつきます。
最初の雌花は受粉しても空洞果になる可能性が高く摘み取ってしまいましょう。
12節から20節まであたりの2番花または3番花を受粉させましょう。
スイカの人工授粉:チャンスは1日だけ!最も失敗しがちなポイント
スイカには人工授粉が必要で、タイミングが結構シビアです。
ここをマスターできれば、おいしいスイカがあなたを待ってます!
雌花が咲いた朝8時頃までに、その日に咲いた同じ株(品種)の雄花の花粉を雌花にこすりつけましょう。
また、スイカは濡れていては受粉しません。雨が降りそうな場合、傘で雨よけするのがいいでしょう。トンネル栽培だと濡れずに確実に人工授粉できるのでおすすめです。
人工授粉すると次の日には果実が少し大きくなり、下がってきます。
ちなみに、少し大きくなったまま止まってしまう場合があるのですが、それは失敗の合図です。正常に受粉した果実は日に日にどんどん大きくなっていきます。
また、受粉した果実には、直接土に触れないようにわらなどを必ず敷いてください。病虫害の予防になります。
1株で最大4個収穫できるように受粉させる
大玉スイカの場合、1本のツルあたり1個だけ受粉させるのがいいでしょう。
先ほど整枝で子ヅル4本のみを残しているので、このまま成長すると計4個の実をつけます。
このあと最終的には、1株に1〜2個に絞ると、栄養が集中して1つ1つが甘くておいしいスイカになります。
ではなぜ、最初から2つだけに人工授粉をしないのかというと、
スイカ栽培自体の難易度が高いため、多く受粉させて保険をかけておこうということです。
小玉スイカの場合は、4果採りが基本です。
受粉後の管理
受粉が成功した果実の側には、「人工授粉した日付」を書いたラベルを30cm位の棒につけ、立てておくといろいろ便利です。
スイカの収穫時期は外から見ただけではまったく分かりません。大玉スイカは受粉してから45日~50日、小玉は35~40日が収穫時期なので、その札を見ればすぐ見極めがつきますよ。
また、葉が混んできた時に、葉の陰に隠れて果実がどこにあるのか分からなくなることがあります。間違って実やツルを踏んでしまうことも、この目印があれば防げます。
スイカの追肥:果実が玉子大になったら追肥
確実に”着果した”と判断できるのは、大きさが卵大になった頃です。
この頃に追肥を行います。株全体の外側にひと握り分の肥料を撒きます。
スイカの裂果:梅雨の晴れ間には注意
スイカ栽培では梅雨の長雨は大敵です。最も注意しなくてはいけないのが、雨が続いたあと急に晴天になった場合です。
水分が多い状態が急に外側が乾かされ、爆発(裂果)するのです。
ちなみに、うどん粉病もこういう状態のとき発生しやすいです。
対策方法としては、せめて傘をさして果実だけは雨から守ってあげることです。
病気:最悪の病気は「ツル割れ病」
スイカ栽培において最悪の病気は「ツル割れ病」といって、ツルが割れてきて葉が枯れてくる病気です。
カビが原因で、極端な多湿または乾燥で発生しがちです。
残念ながら回復することができず、ほかに蔓延させるので、すぐ抜いて処分してください。
翌年もその場所でスイカの栽培はできません。
玉直し:綺麗な見た目にする
開花後30日後に、それまで日陰になっていた方を日が当たるように置き直します。
こうすることで全体が一様に色付きます。
どうせなら、綺麗な見た目の方がいいですよね♩
スイカの収穫:時期の判断は日数と音
いよいよ収穫です。とはいえ、スイカは外側からでは熟したかどうかまったく分かりません。数も少ないので試し取りもできません。
収穫の目安の1つは、人工授粉してからの日数(大玉スイカで45~50日、小玉スイカで35~40日)ですが、確実なのはスイカを軽く叩いて音を確かめる方法です。
成熟をはじめた頃は“非常に軽い”音がします。それが熟すにつれてだんだん“低く重い”音に変わってきます。このときがチャンスです。その後、熟しすぎるとまた軽くなります。
収穫したスイカの保存
スイカの特徴を一言でいうと「日持ちしにくい野菜」です。
メロンやかぼちゃは収穫後に時間を置くことで甘みが増しますが、スイカは収穫後に追熟しないため、徐々に味が落ちていきます。
また、低温や乾燥にも弱く、皮のついたまま丸ごと常温保存がベストです。
日持ちさせる保存方法などは以下で詳しく解説していますよ。
▶︎スイカの保存方法は「まるごと常温」が正解!カット冷凍で日持ちさせるコツも紹介
これで失敗しない!プロのワンポイントアドバイス
スイカは肥料のあげすぎに注意したり、摘芯整枝や早朝の1日限りの人工授粉が難しく、手間がかかる果実です。
それだけに、しっかり大きな果実をつけた時には達成感があります。店で買うものとは美味しさに雲泥の差があり、たまりませんよ♩