庭先に植えると、秋にはかわいい実をいっぱいつける「金柑(きんかん)」。
みかん類の中でも木が大きくならず、ほとんど世話をせずともたくさんの実を収穫できるので、家庭菜園初心者にもおすすめの果樹なんです♩
今回は家庭菜園のプロが、金柑(きんかん)の育て方・栽培方法のコツを解説します!
金柑の特徴
金柑(きんかん)は、春先から白い花をつけ、秋には直径2〜3cmくらいの黄金色の実をたくさんつけます。
皮のすぐ下の部分が甘く、皮も薄く柔らかいので、皮ごと食べるのが一般的です。
そのまま食べてもおいしいですが、砂糖を加えて煮る甘露煮や、ジャムに加工するのもおすすめ♩
金柑はみかんの仲間ですが、ほかのみかん類に比べて木が大きくならず、ほとんど世話をせずとも、秋にはかわいい実をいっぱいつけるので、庭木として植えられることも多くなっています。
最近では改良されて、甘く少し大きな実をつける品種もあり、少しのお世話で甘くおいしい金柑になります。
ビタミンCやカルシウムが多く含まれているので女性にも嬉しい果物です。
栽培適地:北関東以南が栽培適地
金柑は平均気温が16℃以上、最低気温がマイナス5℃以上の比較的温暖な場所で育ちます。国内では北関東以南の平地が目安です。
低温には弱いので、心配な場合は低温期に根元にわらやビニールマルチをして防寒対策をしましょう。特に3年目までの幼木は気をつけてください。コンテナ栽培の場合は、株全体を不織布で覆うか室内に取り込みます。
金柑の品種:実の大きな品種が人気
・きんかんたまたま
・寧波(にんぽう)金柑
・ぷちまるきんかん
スーパーなどで販売されている金柑の実は、ほとんど品種が書かれていませんが、近年は”きんかんたまたま“というブランド名で大粒の金柑が売られています。
もともと宮崎県が一般的な金柑の品種「寧波(にんぽう)金柑」から大粒な実がついた株を選んでそれを増やし、さらについた実から特に大きな実を宮崎県ブランドとして販売しているものです。
また、種なしの「ぷちまるきんかん」も人気になっています。
金柑の苗の準備:接ぎ木苗で育てるのがおすすめ
金柑は、ホームセンターや種苗店から接ぎ木の苗を購入しましょう。
もちろん種からも栽培できますが、実がなるまで5年以上かかり、しかも質の悪いものになる可能性が高いので非推奨です。
接ぎ木苗の場合、苗の年数にもよりますが、1年苗(接ぎ木してから1年目)だと3年、2年目以降の苗だと2年くらいで実がつきます。
ネットでは、実がついた3年以上の苗も販売されていますよ。
金柑の土の準備
金柑は土をあまり選びません。
露地植えの場合は、庭土に腐葉土をよく混ぜあわせて使用すると良いでしょう。
水はけの悪い粘土質の土は良くないので、深さ70cm、直径1mくらいの穴を掘り、市販の改良用土か黒土に多量の腐葉土を混ぜ込むなどして土を改良してください。
プランターや鉢植え栽培の場合は、市販の果樹の土を使えばOK!
金柑の植え付け・仕立:1年苗は30cmくらいにい切り詰めて植え付け
金柑の植え付けは暖かくなる3月〜4月が適期です。
植える場所のポイントですが、”日当たり”を一番重視しましょう。
1年苗は丈夫でしっかりさせるために30cmほどに切り詰めて、低い位置から枝を発生させてください。
2年目で枝の発生している苗は、しっかりしている枝を3本残し(主枝)あとは切り取ってください(開心自然形/かいしんしぜんけい)。
3年目以降の苗は、なるべく低い樹高に仕立てるため、上に伸びている枝は全体の1/4程度で切り詰め、横方向の枝を伸ばすようにします。
開花・受粉:1年で3回以上も花が咲く
金柑の開花は5月下旬頃から始まります。その頃から秋にかけて少し間隔をあけて3〜5回ほど咲きます。
金柑は、自分の花粉で受粉する(自家和合性/じかわごうせい)ので、1本植えるだけで実がなります。
基本的には人の手は不要で、虫任せでOKです。
万が一、何年も実つきが悪い場合は、筆などを使って人工授粉すると実がなってくれますよ。
摘果:密集したところは摘果
実の大きさは最初の花が一番大きく、秋の花は生長期間が短いので小さいままになってしまいます。
そのため、夏の花までに受粉した実を残し、秋のものは摘み取ります。
大きくするためには1果につき8枚以上の葉が必要(葉果比8/ようかひ)なので、密集したところは摘果してください。
また、実をつけすぎると翌年実のつきが悪くなります(隔年結果/かくねんけっか)。
金柑の収穫:新芽が伸びる頃までにすべて収穫
金柑の収穫は、2月頃から花の咲く前の4月頃までです。
12月頃には既に黄色になっていますが、まだまだ酸味が強い状態です。
品種や着果時期によって違いが出ますので、何個か試し取りをして確かめるといいでしょう。
また、あまりにも長い間ならしておくのは木にダメージを与えてしまうので、収穫時期が来たら早めに全部収穫してください。
剪定:混み合ったところを間引くイメージ
剪定(せんてい)は暖かくなってきた3月〜4月頃に行います。
金柑は果樹の中でもあまり樹高が高くならないので、上に伸びた枝や、風通しをよくするために混み合ったところを間引く程度で構いません。
切りすぎると実つきが悪くなりますので、剪定をしなくても大丈夫です。
剪定のポイントですが、先端から1/4程度のところを切り詰めます。
肥料:肥料は冬と秋口の2回
肥料は化成肥料か果樹用のすぐ効く肥料(速効性肥料/そっこうせいひりょう)とゆっくりと効き始める肥料(緩効性肥料/かんこうせいひりょう)の両方が含まれている有機配合肥料が便利です。
肥料をあげるタイミングは、元肥(もとごえ)は2月〜3月、追肥(ついひ)が8月〜9月の年2回。
根元周りに均一にまきます。軽く耕しておくと肥料の効きが早くなります。
肥料の量は元肥8、追肥2の割合で、成木で元肥4握り、追肥1握り程度です(肥料によって成分配合量や比重が異なります。肥料の量は肥料のパッケージの説明文に従ったり、種苗店などの専門スタッフに聞いてください)。
病害虫対策:カミキリ虫とアゲハチョウに要注意
金柑は病害虫はあまり気にならない果樹ですが、カミキリ虫には要注意です!
卵を樹に植え付け、幼虫は樹に小さな穴を開けて芯に入り込み、芯を食べて生長します。そのまま樹の中でさなぎになり、成虫になると樹に丸い穴を開けて出てきます。
こうなってしまうと株が枯れてしまいます。春先に成虫を見かけたら即捕殺してください。
また、幼虫が木を食べ始めると入り込んだ穴からおがくずのような細かい木くずが出てきます。その場合は穴から細長い針金などを差し込んで幼虫を殺します。
アゲハチョウの幼虫(イモムシ)も多いと葉を食い尽くされることがあります。捕殺しましょう。
家庭菜園のプロのワンポイントアドバイス
金柑はあまりお世話をしなくても実をたくさんつけてくれる、優等生果樹です。
混み合っている実や枝を少し整理すれば、毎年おいしい実をつけてくれますよ♩
それではまた!