家庭菜園でのよくあるお悩み「うまく育たない」「思ったほど収穫できない」。
実はこれ、追肥が不十分だったということが多いです。
「そうか肥料を与えればいいんだな」ということで、育て方の記事を読んでみると、
「野菜の成長に合わせて追肥を与えましょう」とだけ書いてあって、
「一体いつどのくらい追肥を行えばよいのかわからない!」なんてことありますよね。
今回は農家の私が、「追肥とは何か」「肥料の種類」「与えるタイミング・肥料不足のサイン」などを基本から解説していきます。
追肥のタイミングや与え方をマスターすればたくさん収穫できるようになりますよ♩
追肥とは
追肥は「ついひ」「おいごえ」と読みます。漢字があらわす通り、追加で与える肥料のことです。
野菜を育てる前、土作りの段階では、肥料を土と混ぜ混ぜしていますよね(元肥)。
この元肥として与えた肥料は、成長するとともに野菜が吸収していきます。雨によっても肥料分が少しずつ流出していきます。
結果的に、成長に必要な肥料分が徐々に足りなくなり、成長に影響が出てくるのです。
そこで、追肥を与えることによって生育が良好になります。
また、中には、
「追肥なんかしないで、最初から必要な量の肥料をすべて施してしまえば楽でいいのに…」
と思う方もいるかもしれません。
しかし最初から全量施してしまうと、初期の段階で栄養分を多く吸収しすぎて、徒長や肥料焼け、蔓ボケなどを起こし、逆に上手に成長しなくなります。
必要な時に、必要な量の栄養分を与えるために、追肥が重要というわけなんです。
追肥のタイミング
追肥を施すタイミングは野菜によって異なります。
詳しいタイミングについては、個別の育て方のページを参考にしてみてください。
ここでは野菜を大きく3つに分けて、追肥のタイミングをご紹介します。
①葉物野菜に対しての追肥
小松菜やほうれん草などの葉物野菜。こちらは栽培期間が短いものが多く、追肥が無くても十分に育ちます。
生育状況によっては追肥をすることもありますが、肥料過多になると味にエグミがでるなどの影響もあるので注意してください。
②果菜類に対しての追肥
トマトやキュウリなどの果菜類。たっぷりと肥料分を必要とするものが多く、こまめな追肥が必要となります。
多くの種類で、植え付け後の開花時期から追肥を始め、収穫期間中は2~3週間に1回程度、定期的に与えます。
肥料が不足すると収穫できる実の数が少なくなり、実のサイズも小さくなってしまいます。
ミニトマト栽培であまり実をつけなかった…という経験がある方も多いのではないでしょうか?
③根菜類に対しての追肥
人参や里芋などの根菜類。それほど多くの肥料を必要としないものが多いです。
しかし、根が肥大する時期に肥料が不足すると、十分に肥大しません。間引きと同時に2~3回追肥をしましょう。
追肥のサイン|ここをチェックしておけば見逃さない!
「他にも栄養不足だなと思ったら追肥をしてください」と言われるけど、
具体的にいつ追肥すればいいの?
肥料不足になると、何らかのサインが必ず出てきます。
野菜をよく観察して、追肥を施すことが大切です。
以下のようなサインが出ていたら肥料不足の可能性があります。
- 葉が黄色、黄緑色になる
- 葉のツヤがなくなる
- 葉脈の色が薄くなる
- 葉の数が減る
- 葉が小さくなる
- 新芽が成長しない
- 実付きが悪くなる
なお、必ずしも肥料不足だけが原因ではなく、害虫被害や病気の症状と重なるものもあります。虫食いや病気の症状が出ていないか観察して、総合的に判断しましょう。
いずれにしても、異変があるのに対策をしないまま放置すると、枯れてしまう恐れがあるので注意してください。
肥料の種類|それぞれどんな特徴があるの?
化成肥料|肥料の種類①
鉱石由来の肥料です。即効性と適度な持続性があり、匂いもしないので使い勝手が良いです。
各肥料分のバランスもよく、初心者の方にもおすすめです。長い間使いすぎると土が硬くなったり、酸性に傾きやすいので注意してください。土作りの段階で堆肥を入れるなどして対策しましょう。
有機肥料|肥料の種類②
植物や動物など有機質由来の肥料です。成分が少〜しずつ分解されて肥料効果が表れます。
そのため追肥をしてから効果が出るまで時間がかかりますが、効果は長続きします。臭いが発生したり虫が発生したりすることもあるので、土の中に埋めるようにして与えるのがおすすめ。
液体肥料|肥料の種類③
液体肥料(液肥とも呼ばれる)は、肥料の原液を水で薄めて与えます。水やりと同時に追肥をこなせるので作業が楽です。
即効性が非常に高く、追肥をして数日内に効果を発揮するのが特徴。
そのため肥料切れの時など、素早く肥料分を与えたい場合に効果的です。その反面、持続性がないためこまめに与えるか、その後に化成肥料などに切り替える必要があります。
追肥の方法
粒状肥料の場合
追肥の基本は、株元ではなく根の先端付近に肥料を施すことです。
というのも、肥料は根の先端付近からが一番効率よく吸収されるためです。
根は土の下にあるので目視できませんが、根の先端付近は広がった葉や蔓の一番外側の下あたりになります。
株全体を観察して追肥を施す場所をイメージしてください。
また、マルチをしている場合も基本的には同じです。
栽培期間の短い種類は、マルチの穴から手を入れて、株元から少し離れた場所に施します。
栽培期間の長い種類の場合は、株間や条間に支柱などを使って穴をあけ、そこに肥料を施します。
液状肥料(液肥)の場合
ジョウロに水を入れ、規定量を計って入れて混ぜ合わせます。
薄めた肥料を株元に「水やり」のようなイメージで施します。
注意点としては、必ず既定の量を守るようにすることです。
液状肥料は即効性が高い分、濃度が高いとかえって野菜を弱らせることもあります。
追肥の注意点
与えすぎに注意
元肥と同じく、追肥もたくさん与えれば良いわけではありません。
肥料分が多くなりすぎると、つるボケ、徒長の原因となります。また、窒素分が多くなりすぎると、アブラムシなどの害虫が寄り付きやすくなります。
商品に記載されている適量を守って与えてくださいね。
水分不足に注意
肥料は水に溶けることで、根が吸収できます。追肥をしたあとに晴天が続くと、せっかく追肥しても効果が少ないです。
晴天が続いていて、土が乾いてしまっている場合など、天気を見て状況によっては水やりをしてください。