お菓子のグミではなく、果樹のグミを知っていますか?
グミは、皮が薄く日持ちしない果実のため、スーパーに並ぶことはまずありません。
ですが、完熟した実は柔らかな食感でとろけるような甘さ!この味は家庭菜園で育てた人の特権です♩
そんなレアな果樹「グミ」の育て方を、今回は家庭菜園のプロが解説していきます。
グミは育てるのが楽で、放っておいても実がなるので、家庭菜園初心者でも楽しんで育てられますよ。
グミの品種:ビックリグミがおすすめ
グミの品種は50種以上もあり、冬に落葉する“ナツグミ”・“アキグミ”、常緑種の“ナワシログミ”などがあります。
ナツグミは5〜6月、アキグミは8〜9月、常緑種は5〜6月にサクランボに似た、少し細長い赤い小さな実がなります。
味は甘酸っぱく結構おいしいのですが、渋みと酸味が強い品種もあります。
そして、ナツグミの変種としてできた「ダイオウグミ」は、従来種よりかなり大きい実がなり、甘みが強く、果汁が多いのが特徴です。
ホームセンターなどでは“ビックリグミ”という名称で売られています。
今回はおいしいグミという観点から、この”ビックリグミ”の育て方を取り上げます。
ビックリグミの栽培時期
「ビックリグミ」は落葉するため、寒さには強いです。耐寒気温はマイナス20℃ともいわれていて、日本全国ほとんどの場所で栽培できます。
11月~3月に植え付けをして、1年目の夏前ごろからすぐに収穫できるのも嬉しいですよね。
苗・土の準備:グミはコンテナ栽培がおすすめ
グミを露地で栽培する方法もありますが、家庭菜園では大きめの鉢で栽培する方がお手軽でおすすめです。
苗はホームセンターやネットで購入できます。
また、用土は市販の果樹の土を使えばOKです。
ちなみに、露地で育てると木が2~3mと結構大きくなります。
露地植えの場合、土はあまり選ばず、庭土に腐葉土を混ぜれば土作りは完了です。
植え付け
植え付け時期は11月~3月で、厳冬期は避けてください。
ビックリグミの開花・受粉・収穫
ビックリグミは、成長力が旺盛で、1年目から勢いよく枝が伸び、花を咲かせ実もつきます。
しかし、1年目は実をつけすぎると木に負担がかかります。
1年目は実つきの様子などを観察するようにして、受粉を補助するような作業はしない方がいいでしょう。
収穫は完熟してから。赤くても未熟だと皮に渋みが残っています。
赤くて柔らかく熟したものから試し取りをして、味を確かめてください。
完熟後の実は柔らかくて甘い口溶けが特徴で、収穫後は傷みやすいです。できるだけ早く食べるか、ジャムなどに加工するのがいいでしょう。
もし、2~3年しても実つきが悪い場合は、ナツグミなど同じ時期に花の咲く「ビックリグミ以外のグミ」を受粉樹として植えてください。これで確実に結実しますよ。
剪定:高くならない、広がりすぎない剪定
ビックリグミは成長力が旺盛で、1年で枝がかなり伸びます。
コンテナ栽培の場合、葉がかなり茂った状態になり、露地の場合は、何年も放っておくと木の高さが2〜3mにもなります。
そのため、12月〜2月に剪定を行います。
グミの木に限らず、剪定の基本は、上に伸びる枝の1/3程度を切り詰めることと、横方向に長く伸びた枝も1/3程度を切り詰めることです。
「え、切ってしまっても実がつくの?」と思われるかもしれませんが、しっかり実がつきますので安心してください。
グミは花芽(将来花がつく)と葉芽(将来葉っぱになる)の区別がつきにくいのですが、花芽は枝全体につき、特に短い枝(短果枝)に多くつきます。
従って、長い枝の先端部分を切り詰めたところで、樹全体で実がつかなくなることはありません。
ビックリグミの肥料
グミは野生でも育つ植物なので、肥料を与えなくても問題はありません。
たくさん実をつけたいという方は、化成肥料か有機配合肥料を、
3月に元肥(もとごえ)、6月に追肥(ついひ)、9月に礼肥(れいひ)として少しだけ与えるといいでしょう。
鳥対策・害虫対策
グミの最大の天敵は鳥です。鳥は実が赤くなれば食べに来ます。少し渋くてもお構いなし。鳥獣害よけのネットを早めにかけましょう。
また、害虫はアブラムシとかカイガラムシがつきます。
病気の原因にもなるので、見つけたら退治してください。
対策法ですが、有機栽培でも使える良い薬剤もあるのですが、木酢液・醸造酢(食酢)、唐辛子入りの焼酎、牛乳などの30倍程度希釈液もお手軽で効果があります。
私の経験上、特に食酢がアブラムシに効きますね。
ビックリグミの増やし方:挿し木で増やそう!
ビックリグミを増やしたい場合は、挿し木(さしき)が簡単かつ費用もかからないのでおすすめです。
6月から7月頃徒長しすぎた枝をカットし、1時間程度水につけ土に挿します。葉は水分蒸発を防ぐため1枚だけ残し1/2程度にカットするか、すべて落として枝だけにします。
すべてが根づくとは限りませんが、ビックリグミは生命力が強いので成功率は高いです。
また、剪定した枝を切って冬場から早春に挿(休眠挿し)しても結構成功します。
家庭菜園のプロのワンポイントアドバイス
グミは夏にサクランボのような赤い実をつけるので、観賞用植物としても好まれていますが、中でもビックリグミは大きくておいしい品種です。
ほとんど手間がかからないので、家庭菜園としても優等生。プランター栽培に適しているので手軽に栽培を楽しめますよ。
そしてなんといっても、ビックリグミの完熟した実は、柔らかな食感でとろけるような甘さ♩ この味は家庭菜園で育てた人の特権です。
ぜひあなたも堪能してみてはいかがでしょうか?