畑を見渡してみると、野菜は少し土が盛られた場所で育てられています。
その盛り上がった場所を「畝」と言い、畝を作る作業のことを「畝立て」と言います。
畝は必ず必要なものではありませんが、メリットも多く、本格的な野菜作りを楽しめます♩
「畝立てって難しそう…」という方でも大丈夫。
農家の私が、「畝立てのメリット」「簡単な畝立てのやり方」「畝立てに必要な道具」をご紹介するので参考にしてみてくださいね。
畝立てのメリット
まずはそもそも「なぜ畝立てをする必要があるのか」というお話です。
排水性が高まる|畝立てのメリット①
畝立てをすると周囲より高くなるので、排水性・通気性がよくなります。
雨が降っても水に浸かっている時間が短くなり、根腐れなどを起こしにくくなります。
また表面積が広がり地温が高くなるのもメリットの1つです。
根張りが良くなる|畝立てのメリット②
土を盛ることで、作物の根が張る「作土層」が厚くなります。
もともと硬くて耕しにくい畑でも、畝立てすることで楽に作土層を作れ、野菜が深く広く根が張れるようになります。結果として生育がよくなるというわけです。
管理がしやすくなる|畝立てのメリット③
畝立てすることで、それぞれの野菜を栽培する区画、通路の区別がつきやすくなります。
栽培区画が区別しやすくなると、輪作がしやすいですし、水やりや追肥などの管理がしやすいです。
また通路がはっきりすることで、誤って作物を踏んでしまうなどのミスも減らせます。
家庭菜園の初心者であれば、このメリットは弱く感じるかもしれませんが、結構大事なポイントなんです。
畝の種類
畝の種類には、平畝と高畝、鞍つき畝があります。
平畝と高畝は明確な違いがあるわけではありませんが、使い分けることで、より上手く野菜を育てられます。
それぞれの特徴を軽くみてみましょう。
平畝|畝の種類①
大体の畝がこちらのタイプです。
高さ5〜10cmほどの畝を指します。土を盛る作業が少ないので、畝立て作業も楽です。
特に、里芋など水を好む野菜や、じゃがいものなど土寄せ作業が必要な野菜は平畝がおすすめです。
高畝|畝の種類②
平畝を少し高くしたバージョンです。
高さ10cm以上の畝を指します。水はけの悪い畑は高畝にすることで野菜が育てやすくなります。
高さを出すために、土を盛る作業が少し大変です。
水はけの良い環境を好むサツマイモ、深く根を張る根菜類に特におすすめです。
鞍つき畝|畝の種類③
土を高く盛り上げて、一株ごとに畝を作る方法です。
多湿に弱く、根を深く張るカボチャやスイカなどに適しています。元肥の上に土を盛ることが多いです。
畝の向きや幅|畝立てする前にチェック!
畝の向き
一般的には、南北に畝を作ると、日の出から日の入りまで満遍なく陽が当たります。
家庭菜園の場合だと、周囲に住宅があることも多いので、東西の方向に畝を作ったほうが陽当りがいい場合もあります。環境に合わせて向きを決めてください。
もし東西に畝を作る場合は、南側に葉物野菜や地を這う野菜類を植え、北側に背の高い野菜を植えると全体的に陽当りが良いです。
また半日陰を好む野菜を北側に植えるのもおすすめです。
畝の幅
畝の幅は野菜の種類や、育て方によって変わってきます。大きく育つ野菜であれば幅を広げる必要がありますし、1条植え or 2条植えによっても変わってきます。
品種によっても変わりますので、タネ袋や、苗のタグに記載されている情報も参考にしてみてください。目安としては、60~100cmほどであれば大半の野菜が育てられます。
また使用するマルチによっても変わってきます。95cm幅のマルチであれば60~75cm、135cm幅のマルチであれば85~95cmの畝幅になります。
畝立ての方法(平畝・高畝)
ここからは、簡単な畝立ての方法をご紹介します。
まずはよく使う基本的な畝(平畝・高畝)の方法です。
育てる野菜にもよりますが、基本的に土づくりの段階で、酸度調整や元肥の投入が終わってから畝立てを行います。
用意するもの
- 鍬(くわ)
- レーキ(代かき/トンボ)
- メジャー(※あると良い)
- 紐(※あると良い)
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畝立ての手順①:畝の形と位置を決める
まずメジャーで距離を測りながら畝の形、位置を決めます。
形と位置が決まったら支柱を立て、支柱間に紐を張ります。
目測でも良いですが、紐を張ることでまっすぐに綺麗な畝を作れますよ♩
畝立ての手順②:土を盛る
紐の外側の土を鍬(くわ)で堀り、堀った土は内側に入れて盛り上げていきます。
ポイントとしては、紐に沿って直線に掘り上げること、同じ深さで掘ることです。
畝立ての手順③:土を平らにする
掘り上げた土を平らにします。
まずレーキ(トンボ)で大まかに均します。そして軽く押し付けるようにして整えていきましょう。強く押し付けすぎると土が硬くなるので注意してください。
凸凹していると、一部分に水が溜まったり、発芽が揃わなかったりする原因にもなるので、なるべく綺麗な表面を作り上げましょう。
畝立ての手順④:完成
最後に畝の側面を鍬(くわ)や木の板で軽く押し付けて形を整えたら完成です。
側面は直角ではなく、少し斜めにして台形をイメージするのがポイントです。
畝立ての方法(鞍つき畝)
カボチャやスイカなどの栽培に向いている畝(鞍つき畝)の方法です。
用意するもの
- 鍬(くわ)
- スコップ
- 肥料(堆肥)
畝立ての手順①:穴を掘って元肥を入れる
スコップで直径30~40cm、深さ20cm程の穴を掘ります。
この穴に元肥として化成肥料や堆肥を投入します。
畝立ての手順②:土を盛る
掘った土を元に戻し、周囲の土を盛っていきます。
直径40~50cm、高さ20~30cmの円錐形を作ります。
畝立ての手順③:完成
頂点を手のひらやレーキで平らに整えて完成です。
複数の畝を作る場合は、栽培する野菜の株間に合わせて距離をとってください。