「所得向上が期待できる」と多くの農家が関心を持つ、6次産業化。
うちの農園も最近収益上がってきたし、そろそろ6次産業化に着手したいな。
でも経費も膨大だから補助金はないかな?
そういや、6次産業化で使える補助金があったような。
「補助金獲得までが大変」と聞いたけど自分にもできるかな?
このような農業経営者に向けて今回は、
6次産業化の経費として利用できる補助金などの情報・補助金獲得のために使えるサポートをご紹介!
お金の情報を整理しておくことで、実際に6次産業化のビジョンを具体的に描けるようになれますよ。
6次産業化の経費はどこから捻出する?
6次産業化は魅力的ですが、何しろ経費が膨大にかかります。
基本は自己資金だけでなく、どこからか資金調達するケースが多いです。
経費の出どころの一覧を表にまとめてみました。
自己資金のみ | 補助金 | 融資 | 出資 | |
例 | ー | 各都道府県の 助成制度 | 農業改良資金 (日本政策金融公庫) | 農林漁業成長産業化ファンド (A-FIVE) |
メリット | 返済不要 | ・返済不要 ・担保・保証不要 | 多額(自己資金の2~5倍) | ・返済不要 ・多額(自己資金の10倍も) ・経営ノウハウも得られる |
デメリット | 少額 | ・少額(自己資金の2~3倍) ・事業要件が厳格 | ・担保・保証が課題 ・返済の必要あり | ・成長性が求められる ・経営権を握られることも |
※A-FIVEは2025年度末に廃止予定で、新規の出資相談の受付は行っていません。
ここからは、6次産業化に利用できる補助金・融資について詳しく触れたいと思います。
6次産業化に使える補助金とは?
まずは、6次産業化に使える「補助金」のお話。
有名どころでいうと、小さな農家こそ使うべき補助金がありまして、それが小規模事業者持続化補助金というもの。
補助率は2/3。つまり、たとえば販促用のHPの開設・SNS広告の運用で60万円かかったと申請すると、後から40万円分の補助を受けることができます。
また、実は6次産業化に特化した補助金もあるんです。こちらは都道府県毎に独自の助成制度があります。
今回は一例として、愛知県の6次産業化に関する支援事業を載せておきます。
6次産業化の推進支援事業 (ソフト事業) | 6次産業化施設整備事業 (ハード事業) | |
対象 | ・加工・直売の推進 ・直売所の売上向上に向けた多様な取組 など | 加工、流通、販売等のための施設 など |
補助率 | 1/3以内 | 3/10以内 |
このように各地域によって独自の制度がありますが、
そもそも6次産業化の補助に関しては国が「食料産業・6次産業化交付金」という形で毎年交付しています。
この辺の話をわかりやすく言うと、
まず国が予算を決めて、都道府県に対して交付金(食料産業・6次産業化交付金)を交付します。
そして都道府県が窓口となり、手を上げた事業者に補助金を付与しているという形です。
実際に補助金を利用する時には、都道府県に対して計画書を提出すれば補助金を獲得できます。
一般的には「総合化事業計画」を作成し、認定を受ける(=認定事業者になる)必要があります。
後述する、6次産業化サポートセンターにて事業計画の書き方などの指導を受けることができますよ。
6次産業化に使える融資とは?
続いて、6次産業化に使える便利な融資の情報です。
農業改良資金(日本政策金融公庫 農林水産事業)
農家はお世話になっている人が多い「公庫」の金融商品です。
「補助金」ではなく「融資」なので返済の義務はあるものの、無利子なので非常に使いやすいですね。
概要は以下の通りです。
条件 | 認定事業者である 等 |
金利 | 無利子(借入の全期間にわたり無利子) |
償還期限 | 12年以内(うち据置期間3~5年以内) |
融資限度額 | ・個人:5000万円 ・法人/団体:1億5000万円 |
より詳細な情報は公式HPをご覧ください。
▶︎日本政策金融公庫 農業改良資金のページ
補助金獲得などに使えるサポート
6次産業化に新たに挑戦してみたいけど、
気軽に相談できるところはあるの?
実は、6次産業化に関して相談できる場所は意外にもたくさんあるのです。
ここでは特におすすめな「6次産業化サポートセンター」を紹介します♩
6次産業化サポートセンター
各都道府県の農業公社など、全国に設置されている相談窓口です。
6次産業化に関するプロである6次産業化プランナーをサポートセンターに派遣しており、相談料は無料です。
・同じような商品を同じような販路で販売する先行事例はないか?
・その事業はどのくらいの販売数・価格・コスト・利益があるのか?
といった商品開発・経営・マーケティングの相談だけでなく、
事業計画作成・補助金の相談など幅広くサポートしてくれます。
あなたの6次産業化が成功にグッと近づきますよ♩
6次産業化に関する補助金獲得の注意点
「これから新規事業に着手して、所得を上げるぞ!」と意気込むところに水を差すようですが、
最後に、6次産業化の補助金利用に関する注意点を紹介して締めたいと思います。
それは、補助金を獲得しようとする余り、本来不要な6次産業化(加工品の販売)をしてしまう可能性はないかチェックするということです。
そもそも6次産業化の目的は何でしょう?
「所得を増やすこと」ですよね。
そして補助金獲得はあくまでも「目的」ではなく「手段」です。
しかしそこまでクオリティの高い加工品ができず需要が跳ねなかった。
結果的に、投資費用・時間が無駄になってしまった。
ということは結構あります。
加工まで手をつけず、現状の「販売」にテコ入れして所得を上げる方法を模索することも一案ですよ。
最後に、6次産業化を考えているあなたにおすすめの本を紹介してこの記事を締めたいと思います。
多くの本は莫大な資産を注ぎ込んだ成功例が紹介されている中、こちらの本では個人の農家さんがはじめられる資金の集め方やSNSを駆使する方法が盛りだくさんですよ。