贈答用高級フルーツとして大人気のキウイ。
そんなキウイを家庭で自宅のお庭で栽培できたらいいですよね。
そこで今回は、家庭菜園のプロが「自宅でできるキウイの育て方・栽培のコツ」を解説していきます。
キウイの苗の選び方、苗の植え方、剪定方法や収穫時期の解説だけでなく、プロのワンポイントアドバイスもご紹介します♩
ニュージーランドで品種改良されたキウイ
キウイの原産地は中国の揚子江流域で、実の形や色が、猿がうずくまった姿に似ていることから彌猴桃(ビトウコウ・猿に似た果実の意味)と呼ばれていました。
そして、1904年にニュージーランド人が中国で手に入れたビトウコウを母国へ持ち帰り、改良を重ねた結果できあがったのが現在のキウイです。
名称はニュージーランドの国鳥、“キウイ”に似ていることから「キウイフルーツ」と名付けられました。日本では略して“キウイ”と呼んでいます。
スーパーなどでは、ニュージーランド産が5月〜12月頃、国内産は12月~4月頃に出回ります。
保存性がとてもよいフルーツのため、1年中変わりなくおいしく食べられます。
キウイの品種
キウイの品種は日本産、ニュージーランド産とも果肉がグリーンの“ヘイワード”という品種が大半を占めます。
また、最近ではニュージーランドの世界最大のキウイ企業『ゼスプリ』社が2002年に販売を始めたイエロー果肉の品種“チネンシス”が人気になっています。商品名でいうと「ゴールドキウイ」です。
その他、ちょっとレアですが、果肉の中央部が赤く染まる“レインボーレッド”などの品種があります。
あなたの好きな品種を選んで育ててみましょう!
キウイの特徴
キウイは元々中国原産ということもあり、耐寒気温がマイナス7℃と非常に低く、栽培しやすい果樹です。
ですが、栽培に先立ち注意しておくべきポイントがあります。
実をならすためには雌木と雄木が必要
キウイには雌木(めぎ)と雄木(おぎ)があります。
雌木にはその名の通り雌花が咲き、実がなります。
しかし、雌木にはめしべはありますが、花粉がありません。
反対に雄木には花粉だけの雄花だけしかありません。当然雄花には実はなりません。
つまり、キウイは雌木と雄木の両方がなければ実がならないのです。
広い庭での栽培 or 鉢植えでの栽培
キウイの家庭菜園での栽培は増えています。ただし、つる性の植物なのでぶどうと同様に棚を作って、しかも雌、雄両方の木を植えなくてはいけないので、ある程度庭が広い家庭に適しているといえます。
一方、「そこまで庭のスペースが確保できない」という方でも大丈夫です。
仕立ての方法を工夫したり、フェンスに這わせたりすれば鉢植えでの栽培も可能です。
用土:用土は庭土でもよく育つ
地植えの場合、庭土に腐葉土を混ぜ込んで使用します。栄養分を補給し、水はけをよくすることができます。
鉢植えでの栽培の場合、市販の果樹の土を使用すればOK!
キウイの苗の植え付け:必ず雌木と雄木を近くに植える
キウイ栽培には雌木と雄木、計2本必要です。
まず、グリーンやイエローなど食べたい果肉の雌木を選び、それに雄木を合わせるのがおすすめです。
2本を選ぶときは、品種と花が咲く時期をチェックします。
グリーンにはグリーンの、イエローやレッドにもそれに適合する品種があります。
また、雌花、雄花の咲く時期にも商品によって差があり、咲く時期が合う2本を選ぶ必要があります。
植え付けは、厳冬期を避けて11月〜3月に行います。
1年目の苗は棒状になっています。雄木、雌木とも思い切って、30cmから50cm程度に切り詰めたのち植え付けてください。
こうすることでしっかりした芽が出てきます。
キウイの仕立て:鉢植え栽培ではオベリスクがおすすめ
鉢植えでの栽培の場合、雌木はつる性の植物に使われる「オベリスク」か「トレリス仕立て」がおすすめです。
オベリスク仕立て
「オベリスク仕立て」はよくつるバラに用いられる仕立て方法です。
古代エジプトやギリシヤなどの神殿や広場などに建てられているモニュメントの塔(オベリスク)のように、市販の栽培用オベリスクか、3本ないし4本支柱を使って、グルグルとつるを巻き付けていきます。
オベリスクは高さ1.5m〜2m程度のものを使用するといいでしょう。
トレリス仕立て
「トレリス仕立て」はフェンスのような平面につるを伸ばす仕立て方です。
市販のトレリスか庭やベランダ、テラスのフェンスを利用することもできます。
雄木は、幅の狭い小さなトレリスを使うか、3本支柱を立てて管理します。
棚仕立て
庭のスペースが広めな方におすすめの仕立て方です。
植木鉢やプランター栽培でも、棚を組んでで育てることが可能です。
また、地植えの場合は基本的に「棚仕立て」になります。雌木と雄木を対角線状に植えます。
基本的には雌木を広げ、雄木は1本だけ幹を伸ばし、最低限花芽を確保できる枝だけに切り詰めます。
キウイの誘引(適期:4月〜8月)
オベリスクや組んだ棚に這わせるように生長させていきます。
誘引はつるが伸び始める4月~8月まで適宜行います。短い枝を無理に引っ張ると折れてしまうので、20~30cmに伸びたら作業します。
キウイの摘蕾(てきらい)(適期:4月~5月)
キウイの花は雌雄とも枝の全域に広く点在します。
つぼみ(花蕾/からい)は、1カ所に2~3個位つきますが、雌木は大きなものだけ残して、ほかは摘み取ります。
雄木はそのまますべて咲かせましょう。
キウイの人工授粉(適期:5月~6月)
虫などによる自然受粉も期待できますが、人工授粉をするほうが確実でおすすめです♩
花が咲いたら雄花を摘み取って、雌花にこすりつけます。
雄花ひとつで10個ほどの雌花に受粉できます。
翌年雌花が咲いたら柔らかい絵筆などを使って受粉させます。
冷凍花粉が有効なのは1年です。
キウイの摘芯(適期:5月~6月)
枝はどんどん伸びていくので、葉の枚数が15枚程度で先端を切ります。
この時期は受粉した果実が成長し始める時期なので、養分のロスを減らすことと、日当たりをよくすることが目的です。
キウイの摘果(適期:6月)
受粉した花蕾はその多くが実になります。
少しは自然落下しますが、ひと枝に対して実が多くつき過ぎます。
実が多いと当然小さい実しか収穫できません。そこで摘果が必要です。
まず1カ所に複数ついている場合は1果に間引きます(予備摘果)。
大きな実が穫りたければ、その後20日後くらいに葉5枚あたり1果になるようにします。
キウイの収穫(適期:10月~11月)
キウイは10月から11月の適期になったら収穫します。
収穫時期の目安ですが、
グリーン系で11月上旬〜中旬
イエロー系で10月下旬〜11月上旬
レッド系で10月中旬〜下旬
です。
キウイの追熟(収穫後)
キウイを最も早く追熟させる方法は、キウイ10個をポリ袋に入れ、それにリンゴを1〜2個入れ密封する方法です。
リンゴから出るエチレンが作用して1、2週間程度で追熟が完成します。
追熟により果肉が柔らかくなり、甘みも増します。
一方、長く保存したい場合は、リンゴは入れないで冷蔵庫に入れておきます。2ヶ月ほど保存できます。
キウイの剪定(適期:12月~2月)
キウイは、旺盛に成長していく果樹で、収穫が終わる頃にはかなり繁茂してしまいます。
そこで「剪定」という枝を切り詰める作業が必要です。
鉢植え栽培の場合、作業しやすいように、1.5mくらいの高さで主幹を止めるようにします。それでも混み合うようなら、実のついていた枝を適度に枝元から切り取ります。
地植えの場合、実がついていた部分からは翌年に芽が出ないので、実がついた先3〜5節程度残して切り詰めます。実がつかなかった枝は、次の実が枝(結果枝)になるので、7〜10節程度残すようにします。
キウイの肥料:元肥7、追肥2、礼肥1の割合で
肥料はチッソ分が少ない有機質を多く含んだ有機配合肥料がおすすめです。
元肥(もとごえ)として2月に一握りを、6月に果実の成長を促すために元肥の1/3程度を追肥(ついひ)として幹から少し離れたところにばらまきます。
実が終わった後、もしも元気がなかったら、礼肥(れいひ)として10月頃に元肥の1/4程度を与えます。
キウイの病害虫対策:木で熟さないので鳥に狙われない
キウイは、病気や害虫に対して比較的強く、その点ではあまり手がかかりません。
また、木で熟さないため、鳥などに狙われる心配がなくありがたいです♩
家庭菜園のプロによるワンポイントアドバイス
キウイは、雌の木と雄の木があり、2本植えなくては実がなりません。1本では実がならないので注意です。
初めての方だと、摘蕾、摘果、剪定には少し手がかかるかもしれませんが、収穫量も多く満足度が非常に高い果樹です♩
この機会に、あなたも自家製キウイを栽培してみてはいかがでしょうか?